W杯の感想とジェフを取り巻く雰囲気
ドイツ代表が延長戦でアルゼンチン代表を下し優勝を決めて、ブラジルW杯の全日程が終了しました。
大会は時差が大きいためどれだけの試合を見られるかな…と思っていたのですが、逆に我慢して寝るのを遅くすれば、あるいは頑張って早く起きれば見られてしまう時間だっただけに、結局かなりの試合数を見ることが出来ました。
全試合とはいいませんけど、半数近くの試合は見られたんじゃないでしょうか。
おかげで寝不足でしたが(笑)
大会全般を振り返ると、新たなトレンドのようなものは、見つけられなかったかなと。
やはり世界の最先端のサッカーという意味では、CLなど欧州の大会の方が一歩先を行くのは仕方がないところがあるということでしょうか。
戦力的に劣るであろう相手に、守備的な3バック(5バック)でのカウンターサッカーを取り上げられていたことが多かった気もしますが、あれも決して今に始まった戦法ではなく。
むしろJ2では、毎試合のようにああいった守り方を見てきましたから、いつも見る風景というか。
J2も戦い方は大きく間違っていないぞ…と、思ったりもしました。
しかし、カウンターで戦ったオランダ代表も、大会初戦のスペイン代表戦には作戦がはまって勝利したものの、全試合でカウンターサッカーが成功したという印象はありません。
スペイン対策仕様で戦っていった結果、翌戦以降の戦力的には格下とも言えるオーストラリアやチリ相手には逆に苦戦。
結局試合中に4バックに戻して戦うなど、やり方を変えざるを得ない試合となった印象です。
このあたりは、オシム監督も似通った指摘をしていると思います。
スポニチは大会期間中、頻繁にオシム監督のインタビューを掲載してくれて、私などはそれだけで楽しめました(笑)
これでスペイン式が古くなり世界の主流が守備的になるのかというと、そう簡単なものではない。たしかに今回は、守備的なチームや退屈な試合が目についた。オランダなども、数年前にバルセロナに対抗するためにモウリーニョが考案した戦術を参考にしたのだろう。しかし、先に相手にボールを渡してミスを待つ消極的な方法では、力の劣る相手に勝てないし、サッカーの進歩も楽しみもない。(スポニチ)
「先に相手にボールを渡してミスを待つ消極的な方法では、力の劣る相手に勝てない」というところが、ポイントではないかと思います。
準決勝のオランダ対アルゼンチン戦も、両者がボールを相手に渡してカウンターを狙うチームではありましたが、結局そうはいってもどちらかがボールを持たなければいけなくなる状況になるわけで。
その時に崩す術があるかどうか…ということで、やはりスペイン式というか、遅攻でも点を取れる術は身に付けておく必要性が出てくるのではないかと。
それがアジアでは格上、世界では格下とも言っていい、日本代表の悩みになるのではないかと思います。
そして、このあたりの考察は、ジェフにも絡んできます。
鈴木監督は遅攻で崩すことにこだわったサッカーをしようとしていた。
しかし、関塚監督に代わったジェフも今後は、パスで崩す意識は薄れてくるのではないかと思います。
その時にどうなるか。
関塚監督の新チーム対策も徐々に研究されてくるはずですし、当然ジェフの良さを潰す戦い方をされることになるでしょう。
そこで打開策が見いだせるのかどうか。
話は戻って、それでもオランダが3位まで行けたのは、ロッベンの存在が大きかったのではないかと私は思います。
ドイツの特長は、コレクティビティー(集団性)だ。個々の選手のレベルも高いが、一貫した育成方針の下でグループをつくり、息のあったコンビネーションができるように育てられた。ブラジルのようにネイマール個人に依存するチームはもろい。コンディションや故障で出場できないと、全く別のチームになる。これはドイツの勝因でありブラジルの敗因だ。(スポニチ)
オシム監督に言わせれば、ネイマールが負傷してしまい、ブラジルは別のチームになってしまったと。
けれども、ロッベンは大会を通じて安定して良いプレーが出来ていた。
オランダは総合的な戦力では上位数か国に比べると劣るのではないかと思うのですが、それでもロッベンはタフにプレーし続けられたから、パスワークなど遅攻で組織的に崩す形がなくても相手を切り裂くことが出来たのではないかというのが私の感想です。
もしロッベンがどこかで離脱してしまったら、オランダも別のチームになっていたのではないでしょうか。
ジェフも攻撃面を前線の1人、2人に頼るサッカーになってしまえば、そういった不安が出てくるの出てくる可能性があるように思います。
正直、そこが今一番、不安に感じる部分です。
さて、天皇杯を挟み今週末はJ2栃木戦。
J2も一巡し、ここからシーズン後半がスタートなります。
栃木は現在7位。
経営難の問題もあり昨年末に複数のベテラン選手が退団し、今年から育成型クラブとして歩んでいくことを掲げきた栃木でしたが、ここまでのところ予想以上に頑張っている印象です。
戦い方はオーソドックス…と言っても、W杯の話の後にそういうと紛らわしくなりますが、日本のサッカーの中ではオーソドックスと言うことになると思います。
サイドでは選手がサポートしあいながらショートパスをつなぎ、中央では裏抜けとポストを狙う。
守備時も4-4-2でバランスよく戦う…と。
その日本のサッカー視点で言えばシンプルな戦い方を選んだことによって、若手選手たちも伸び伸びとプレーできている印象があります。
ジェフは先週の長野戦から関塚監督が就任して、ともかくFWに素早く預けるサッカーを標榜していく姿勢を感じました。
それでもサイドで複数の選手が絡み、中村を前に出していく動きなどは、これまでのサッカーの良さが残っている部分もあったと思います。
しかし、今後は徐々にそういった意識が薄くなり、関塚監督の色の方が濃くなっていくのではないでしょうか。
斎藤代行監督のサッカーも初戦の方が、今までのショートパスサッカーと斎藤代行監督のいう「先手を取る動き」の"いいとこどり"が出来ていてバランスが良かったように思いますが、より新チームの色が出た大分戦では以前のようなコンパクトさもショートパスへの意欲も薄れて、結果的にバランスは悪くなった印象があります。
関塚監督の色が濃くなって、最終的にどういったサッカーに"着地"するのか。
これからのハーフシーズンを通して考えると、そこからが本番とも言えるのかもしれません。
ポジティブな面は、選手たちのコンディションが良いことでしょう。
「夏場に弱い」…と言う印象のあるジェフですが、実際には夏の初めには強い傾向があります。
昨年も6月末から7月末まで6連勝しており、動きも悪くなかった。
問題は8月から9月にかけて、夏の疲労が蓄積されてきた頃に結果が出なくなる傾向にありますから、今はむしろ勝点の稼ぎとすら言える時期だと思います。
実際、2試合連続で2ゴールをあげた森本も絶好調で、スタミナに不安があるケンペスや兵働なども動けている。
その他の選手たちも、概ね良好といった印象をうけます。
ただ、アウェイゲームでは結果が出ていないだけに、その影響がどこまで出るのかが注目です。
また、若干気になるのが、監督が変わっての雰囲気に関して。
個人的にはどうも現在のジェフを取り巻く空気は、期待先行な感が否めない印象をうけます。
ジェフが降格した年の前に行われたサポコミや練習場も凄く緩い雰囲気で、奇跡的な残留成功後に期待が先行しすぎていた印象でしたが、実際にはシーズンが始まるとぼろぼろで。
無論、当時とは状況が違いますし、暗い雰囲気もどうかとは思いますが、どうにも締まらない部分を感じなくもありません。
斉藤TDが自動昇格のために監督を交代したといった以上は(これも公式な見解と捉えていいのかいまだに悩みますが)、昇格に失敗すれば誰かが責任を取らなければいけなくなる必要性も考えられる。
それだけあの状況でのシーズン中の監督交代というのは、本来大きな決断であるはずなものだと思いますし。
もし関塚監督には長期契約が結ばれていたとしても、主要な人材の誰かがクラブを離れるかもしれない。
そうなれば関塚監督の後ろ盾や支持者がいなくなる可能性はあるはずですから、長期的なチーム作りにも支障が出るかもしれないと思うわけです。
そう考えていくと、個人的な意見で言えば今のクラブ状況を楽観的に見るのは難しい。
むしろ「無理な監督交代をしてもやっぱりダメだった」では拙いはずで、よりシビアな状況にクラブは追い込まれているはずではないかと思います。
監督交代をこれだけ繰り返してきたクラブなのですから、もういまさら「これでダメなら…」というような話は聞きたくないですし、継続性という新たな可能性も一度は否定したことになると私は思いますから、小手先の変化に期待するのではなく、より真剣にサッカーに集中していかなければいけないのではないかと思います。
選手たちにもそのあたりを理解した上で、全力で戦ってほしいところです。