谷澤「ウチは選手個々の能力が低い」

 松本山雅戦後のコメントです。

谷澤達也「監督が代わってもやることはそんなに変わっていない。ウチは選手個々の能力が低いというか、自分たちのレベルを上げないと話にならないかなと思います。そのポジション、ポジションで、最低限1人ひとりがやるプレーというのをもっと考えていかないといけないと思います。」(J's GOAL

 ここまでサッカー関係者がはっきり言ったのって、初めてではないでしょうか。
 もちろん謙遜というか卑下的な意味合いもあってのことなのかもしれないですけど、谷澤のことですし素直に思った印象を話してくれた結果のような気もしないでもありません。



 実際、ここ数年は予算も厳しくなっているのか、スペシャルな選手がいないジェフ。
 考えてみれば、昇格チームには代表レベルの選手だったり、Jでもトップクラスの選手がいることが多い印象です。
 柏のレアンドロ・ドミンゲス、工藤、酒井宏樹甲府のハーフナー、FC東京の今野、森重、高橋、鳥栖の豊田、G大阪の遠藤、今野、宇佐美、神戸のエステバンや小川…。


 W杯などでもJ2経験者の話が出たりしますけど、今のジェフにそれだけの選手がいるかどうか。
 もちろんジェフ選手のこれからの成長には期待したいところですけれども、現状だと元代表選手はいても代表レベルには程遠い選手が多いように思います。
 厳しい言い方をすれば、J2レベルの選手が多いのかなと。
 その原因の1つには、これまでベテラン選手の補強が多く、若い選手を育てきれていないという部分もあるように思います。
 上にあげた選手を見てもレンタル組も含めると、J2からJ1に上がって戦っていく過程で成長している選手が少なくないように思いますしね。



 戦力は決して豊富とは言えない今のジェフですが、他チームからのマークばかり厳しくなっている印象で。
 ジェフの伝統だとか置かれている待遇、選手のネームバリューなどが影響しているのではないでしょうか。
 オシム監督が当時の浦和に対して「浦和は毎試合ダービーのようになるから大変だ」と話していたことがりますけど、やはり相手から警戒されるチームはどうしても苦しい。
 反町監督のコメントからしても、ジェフはとても力があるから押し込まれても当然というような話をしてます。
 こういう姿勢で戦うことができれば、とても楽ですよね。
 相手は格上なんだから失うものはないんだ、前からのプレスがかからなくても仕方ないんだ、カウンターで1つ決めて後は虎の子の一点を守って勝点をもぎ取ればいいんだ…と戦術的にもメンタル的にも割り切って戦うことができるのですから。



 「予算があるのに苦戦するのはなぜか」という話をよく聞きますが、むしろ中途半端に予算があるからこそジェフは苦労している印象です。
 相手チームには警戒されるし、様々なプレッシャーに追われることになるし、長期的なビジョンが形成できず、かといってスペシャルな選手をとれるだけの強化費があるわけでもない。


 W杯でも格上と思われるチームは、相手に警戒され、守備的なサッカーで対応され、苦戦しています。
 そして、それを打開するのは、やはり個の能力だったりするわけで。
 もちろん、個だけでサッカーが成り立つわけではなく、例えばブラジル対チリなどを見ても、ブラジルは戦術的な約束事が出来ていなかったため、力はあるにもかかわらず苦戦していた印象でした。
 なんとかPK戦の末ブラジルが勝ち進みましたが、試合全体でみると個を活かせるベースが作れていなかった印象です。
 ジェフはある程度そのベースの部分はできていたと思っていたんですけどね…。



 まぁ、ともかく谷澤のこのコメントは、いろいろなことを考え直す上で、重要ではないかなと私は思います。
 選手だからこそ言えたのかもしれませんけれども、もっと視野を広げてジェフを見ていく必要があるのではないかなと、自戒も込めて思うところです。
 もちろん選手としてみると谷澤のコメントで大事なのは、「自分たちのレベルを上げないと話にならない」といったところなのだと思いますが。
 ベテランだからといって伸び代がないとは言いきれないはずですし、若い選手たちとともに切磋琢磨してほしいと思います。