このチームにおける「自分たちのサッカー」とは

 日本代表に対して語ることに対していろいろ思うところはあるけれども、気持ちの整理を付けたいということで書かせてもらいたい思います。
 日付ははてなの仕様とかで変えてますが、気にしないでください(笑)



 ブラジルW杯日本代表対ギリシャ代表。
 一言で言えば残念な試合になりましたね。
 ギリシャは決してつけ入るすきのないチームではなかった、勝てるチームだったと思うだけに、歯がゆい試合となりました。


 ギリシャは前半から4-5-1で日本代表のサイドアタックを、タッチライン際に追いやる守備をしてきた印象でした。
 しかし、その分中央の守備…特にCBの前が空きやすい印象で、そこが狙い目だったと思います。
 実際CB前を取ってチャンスを作るシーンもあったのですけど、そこを攻めきることは出来なかった。
 そして、ギリシャは1人退場してから4-4-1に変更し、サイズを活かして中央を守る割り切った戦い方に変更した。
 その結果、後半特に終盤からはSBが飛び出す展開が増えたものの、中央を固められた日本はそこを崩しきれなかった…ということになります。


 そう考えていくと、問題なのはやはり前半のうちにCBの前を攻めきれず、得点を奪えなかったことにあるように思います。
 しかも、相手のバイタルエリアでFWの落としや中盤のテクニックによって、テンポよくパスを回すサッカーというのが、それこそ話題になっている「自分たちのサッカー」だったにもかかわらず、それがやりきれなかった。
 それが個人的に最も気になる部分でした。


 1つにはいまだコンディション問題があったように思います。
 香川がスタメンを外れましたが、やはり本田なども好調といった印象はなかったですし、長谷部も万全ではなかったように感じます。
 ただし、それでもギリシャは動きが遅く、対人守備も体を使って止めるなどうまさを感じなかったですし、相対的に見れば決して動機の面で劣っているようには見えませんでした。


 もう1つはメンバーの変更。
 大久保が右ウイングに入って香川の課題である守備の穴を埋め(しかし、それもいまさらな対応といった印象ですが…)、ドリブル突破をいかして縦に仕掛ける狙いだったのかなと思います。
 けれども、今までのよい時の日本代表は香川が中央に入ってFWの落としを受けて、チャンスメイクという流れが多かった。
 左ウイングで起用された岡崎も縦への動きが多く、効果的に中で受けられなかったですし、ここにきて守備を選んだ分、攻撃面で課題が出てしまった印象があります。


 また、本田がボランチエリアまで下がってきてしまい、トップ下の位置に選手がいないことが多かった。
 長谷部、山口では前にパスが出てこないと判断したのか、自身の動きが好調でないと見てプレッシャーを避ける形だったのか。
 確かに本田が下がって散らす動きは、ビルドアップにおいては一定の効果があったとは思いますが、その分仕掛けの面で物足りなくなってしまった。
 特に相手はサイズのおおきなギリシャでしたから、体幹の強い本田に前にいてほしかったと思うのですけど、そうはいかなかった。
 ただ、これもチーム状態が悪い時の本田にはみられた傾向で、突然そうなったというというより、本田に自由を与えてきた1つの結果とも言えなくもないように思います。
 せめてパスの出せる青山あたりがボランチに入っていれば…とも思うのですけど、長谷部の経験やキャプテンシーを期待したということなのか…。


 
 局面局面でもボールを持って時間がかかったり、パスを受ける呼び動作が遅かったり…と、どう攻めるのか迷いを感じることが多かったように思います。
 コートジボワール線でも感じられた部分ではありますが、初戦よりは選手たちが動け手いたことによって、その迷いが余計に強く感じられてしまった。


 では、なぜここにきて迷ってしまったのかと言うと、結局のところ組織的に攻撃を作れてこなかったことが、ここにきて出てしまったのかなと。
 もちろんFWに当てて、落として、受けて、ダメならサイド攻撃で…というアバウトな形はあったとは思うのですけれども、細部が作れていない。
 だれがFWにくさびのパスを出して、誰が受けて、どこで展開するのか。
 そこが曖昧なチームだったのだなと、本田の"迷子"だったり、遠藤・青山抜きの縦パスの問題、香川を外してのカットインの少なさなどを見て、感じてしまいました。
 もちろん、大久保の起用や岡崎の1トップなども、局面で見れば悪くないかもしれない。
 けれども、本質はどこにあったのか…?



 結局のところ「自分たちのサッカー」というのは、ショートパスをつなぐサッカーなのだけれど、個々の能力に依存するところが多かった。
 だから、選手たちのコンディションが良くて、環境も整って、ピタリと形はまれば良いサッカーができるのだけれど、そうでないと選手1人1人の役割分担や細かなプレーに迷いが見られてしまう。
 そのあたり、ある程度は予想できていたとは思うのですけど、コンディション問題含めてハマりきらなかったことが大きかったように思います。
 「自分たちのサッカー」か「勝つためのサッカー」かとか、「内容」か「結果」かとかではなく、そもそも「自分たちのサッカー」が思うようにでなかった、ここまでの2試合といった印象です。



 …とまぁ、ついこのチームのまとめに話が進んでしまう上に、厳しい話になってしまうわけですが、まだW杯は1試合残っているしグループリーグ突破の可能性も辛うじてあるわけで。
 最後にプライドを見せてほしいところですね。