耐えて奪って3-0で快勝
ブラジルW杯、いよいよ始まりました。
現時点での最大のニュースはスペイン対オランダ戦におけるスペイン代表の大敗。
初戦の西村主審の話題が一気に消え失せるほどのインパクトだと思うのですが、こうやって日々ニュースが更新されていくのがW杯なんでしょうね。
オランダはモチベーションも高く、フィジカルでスペインを押しのけようという作戦。
3バックで中央を固め、スペインのパスワークをサイドの狭いエリアに追いやり、カウンターで裏狙いとサイドからのクロス。
ジェフと対戦した福岡と同じような狙いだったのではないかと思います。
テクニカルだけど小柄な選手が多いチームが行うパスサッカーに対して、フィジカルでそのパスワークをサイドに追いやり窮屈な状態にさせて跳ね返す…というのは、1つのセオリーとも言えるのかもしれません。
もちろん今節ジェフが対戦した京都は、福岡やオランダとは全く違う相手。
しかし、サイドの守備は前半のポイントの1つだったと思います。
■左サイドからチャンスメイク
ジェフのスタメンは前節同様。
京都は右SB石櫃が負傷して若干メンバーが変わっていましたが、4-3-3のフォーメーションは変わらずでした。
試合は序盤からジェフペース。
特にジェフの左サイドから、どんどん京都の裏を突いていきます。
前半1分には中村と谷澤でパス交換をして深い位置で受けたとこから、一度大塚に戻して谷澤が受け直すと完全に抜け出しますが、惜しくもオフサイド。
その直後にも左サイドで得たFKからキムが、CKからケンペスが続けてゴールを狙います。
前半5分には、大塚がGKにチェイシングし、パスカット。
しかし、角度がなかったためか中央に合わせてしまい、潰されてしまいます。
GKは前に出ていたので、狙っても良かったと思うのですが…。
ファンペルシーにはなれませんでしたね。
ジェフは前節同様、立ち上がりからチャンスを作っていきます。
京都は4-3-3のフォーメーションだったため、ウイングの裏が空きがちでした。
中盤の3枚がサイドにスライドするか、ウイングが戻るかといった約束事だったとは思うのですが、遅れることが非常に多かったと思います。
中村、谷澤に自由にプレーさせていました。
加えて、ジェフはそこを狙って大塚も左サイドで受けるため、京都の右サイドは混乱状態だったのではないでしょうか。
しかし、前節同様、試合序盤からチャンスを作りますが、なかなかゴールを決めきれません。
京都の攻撃は、大黒を狙った裏へのボールが主体。
しかし、ジェフの守備陣は落ち着いて対応。
山口智のラインコントロールと、キムの裏へのスピードでうまく対応していたと思います。
前半13分には、CKからケンペスが惜しいヘディングシュートを放ちます。
前半17分には谷澤が中盤で受けて、そのままミドルシュート。
前半28分には左サイドで谷澤がボールを奪い、大塚、谷澤が抜け出し、戻しを受けた大塚がシュートも惜しくもGKに阻まれます。
その後も良い形で攻めたてチャンスはあるものの、なかなかゴールが決まりませんでした。
■後半から3点奪って快勝
後半からはさすがに京都も右サイドの守備を修正してきた印象で、ウイングの戻りが早くなりました。
ただし、その分全体が押し込まれ、前への勢いは弱まった印象も受けました。
後半4分にはカウンター。
大塚が左サイド中央寄りからボールを持つと、前線には3人、4人と顔を出します。
大塚が狙ったスルーパスは相手DFに引っかかってしまいましたが、迫力の感じる飛び出しだったと思います。
ゴールが決まったのは後半7分。
右CKを兵働が蹴ると、ケンペスがゴール。
兵働のボールも素晴らしく、ケンペスが前に抜け出してフリーになる動きも良かったですね。
畳み掛けたいジェフでしたが、逆にここからは京都ペースに。
後半8分に、後方からのロングボールを、大黒が切り替えしてキムを振り切りシュートを放つも岡本が反応。
後半15分には大黒へのロングボールの落としを山瀬が受けて右サイドを抜け出すも、ゴール前で何とか跳ね返します。
後半18分には、ボランチ工藤から右SB酒井へ大きな展開。
速いセンタリングに大黒が合わせに行き、触ればゴール…という危ないシーンが作られます。
この時間帯はジェフにとって、かなり苦しかったですね。
最終ラインが疲れて下がり気味になり、ボランチ2人もセカンドボールを拾えず。
大塚の運動量も落ちていて相手ボランチを空けてしまうことが多く、左サイドも酒井をフリーにすることが多かった。
しかし、京都に猛攻を受けたことで、ジェフは前からボールを奪う形をあきらめ、守りの重心を下げたように思います。
これで簡単に裏を取られることはなくなりました。
何とか京都の時間帯を耐え凌ぐと、徐々にジェフが押し返せるようになっていき、徐々に攻撃の形も増えていきます。
そして、後半35分。
兵働が中盤から豪快なミドルシュートを決め、2点目のゴール。
こういったミドルシュートが毎回決まるようになると、楽なんですけどね。
その後は再びジェフペース。
3分後には途中出場の田中がプレスからボールを奪い、ケンペス、井出とつないで井出が縦パス。
前線に走りこんだ田中が、井出にヒールでつなごうとするも、惜しくも繋がらず。
しかし、テンポの良い素晴らしいパスワークで、途中交代の田中が絡んでも良いパスワークが出来ていることに、チームの状態の良さを感じました。
そして、後半41分。
GKからのボールをケンペスが胸トラップ。
そのまま持ち込んで放ったシュートを一度はDFに跳ね返しますが、ケンペスが奪い返してゴール。
2点目が入ってから動きが活発化したケンペス。
自分も1つ決めたいという気持ちが強かったのかもしれませんね。
試合終了間際にも兵働に代わって入ったナムがボールを奪い、ケンペスにパス。
ケンペスが絶妙のスルーパスをナムに送るとGKと一対一になりますが、相手GKにセーブ。
欲を言えばこれも決めてほしいところでしたが、試合は3-0で大勝となりました。
■3-0での勝利でチームに勢いを
まず京都の出来が良くなかったですね。
前節の試合もチェックしましたが、内容は良くなく大黒頼みといった印象が強く残りました。
それまでの試合も3連敗でしたし、敵ながらちょっと心配かなと…。
京都の状態が良くないこと、相手もパスサッカーで相性が良かったこと、システム上のミスマッチがあったこと。
そういった追い風はあったと思うのですが、それを差し引いてもジェフは良い試合ができたのではないかと思います。
一番の勝因は、先制点を取った後の京都の猛攻を抑えきったことではないかと思います。
相手ボランチ付近に守備が行けず、右SB酒井をフリーにし、セカンドボールも拾えない厳しい状態でした。
正直そのあたりの守備に関しては、課題も多く感じられました。
けれども、前からプレスに行かず、低い位置から待ち構えて守備をする形にシフトしたことによって、何とか守り切った。
5月末の愛媛戦でも健太郎が「メリハリの効いた守備」が出来たという話をしていましたけど、それがこの試合でも効いていたのかなと思います。
もちろん、できれば攻め込まれて10分近く苦しい状態で守るのではなく、もっと早くからリトリートする守備にシフトできたのではないか…とも思うのですが。
また、攻撃においてももっと早くから得点を奪えれば、後半得点を奪って相手の猛攻を受け、スタミナ切れの守備陣による失速…なんて流れにもならなかったように思います。
そこも引き続き大きな課題ではあります。
けれども、ようやく大量得点が奪えたのは、前向きに考えたいところでもあります。
状態が良くなっているとはいえ、京都戦までの3試合での得点は合計で1ゴールのみ。
チャンスがあるのに決めきれないということが多かったですからね。
ただ、出来ればパスワークから相手を崩した状態でのゴールも見たかったところです。
前半の大塚と谷澤の崩しや田中、井出などによるパスワークもあったはずですから、理想を言えばそこからのゴールも欲しかったところ。
兵働のゴールもよくよく見れば、その直前にキムが小競り合いを起こして、あとで副審都の確認でイエローを受けているので、それを主審が見ていたら取り消されていたのでは…とも。
とはいえ、今は勢いに乗ることが何よりも大事だと思います。
チーム状態は良いのですし、稼げるときに稼がなければ。
押し込まれた時の守備やパスワークからのゴールなどに関してはまだ物足りない部分がありますけど、今は3-0での勝利を喜びたいところです。