横浜FC戦から気になっていた2つのポイント

 昨日の札幌対ジェフ戦は札幌ドームで開催。
 本来は厚別での開催予定だったのですが、先月上旬に変更が発表になりました。
 こちらの報道によると、日本ハムクライマックスシリーズ進出消滅を受けて札幌が変更を要請したようです。


 試合内容はジェフからすればもったいない展開だったかなと。
 こういった展開で負けてしまうというのは、やっぱり相性というのもあるんですかね…。
 個人的にはあまり気にしたくないのですけど。
■ジェフペースも得点は奪えず
 札幌はJ1昇格プレーオフ進出に向けて瀬戸際の状況ということもあって、立ち上がりから予想通り激しい試合をしてきました。
 1トップ内村のポストとトップ下の前田がキープして、後方の選手が一気に上がってくる鋭いカウンターで攻撃。
 兵働、米倉の右サイドを意図的に狙っていて、守備でもここ数試合ジェフのパスワークの起点となっているボランチ付近へのプレスが厳しく、しっかりジェフを研究してきた印象でした。
 札幌は球際も激しく、攻守の切り替えも速く、集中した試合の入り方となっていたと思います。


 札幌が前掛かりになることが多かったこともあって、試合序盤はジェフもカウンターを狙う展開に。
 ケンペスのフィジカルを駆使したキープ力を中心に、町田が絡んでいく形でした。
 ジェフ相手だと相手がどうしても攻撃中も後ろを警戒してきてあまりカウンターを狙える機会もなかったですけど、この試合の序盤は相手が出てきてくれたこともあって珍しく、その裏を突く攻撃が作れることができました。
 得点には結びつかなかったですが、ケンペスはキープも判断も良好で、良いカウンターが作れていましたね。



 前半の15分頃からは、札幌の勢いも落ちていきます。
 ここからはいつも通り、ジェフがじっくりとしたパスワークを見せていきます。
 一方の札幌もプレッシングを落ち着かせ、4-4-2での綺麗な守備ラインを形成する展開に。


 右サイドからは米倉が裏へと飛び出し、左サイドでは高橋がボールを持ち上がる。
 この試合でも良いボールをあげるシーンが一度ありましたが、高橋は左足でのクロスの精度が上がってきている印象です。
 また兵働や町田が中盤からラストパスを出し、ケンペスなどが飛び出すシーンも。



 ジェフは守備でも中盤でうまく相手の攻撃を読んで、パスをカットするシーンが多かったように思います。
 ここ数試合プレスが機能し始めているジェフは、パスカットの回数が増えている印象です。
 それだけプレス時の守備のバランスが改善されているのではないかなと。


 ただ、一度攻め込まれると最終ラインやボランチのところで潰しきれず、押し込まれる場面が多いですね。
 米倉がフィジカルに頼って相手を潰してしまうシーンも危なっかしく、今後の試合でも狙われる可能性が高そうです。


 また、攻撃でも良い流れはできてはいましたが、相手中央の守備ブロックは非常に固く簡単には得点を奪えませんでした。
 ジェフの攻撃も中央の守備ブロックを避けてのサイドチェンジやサイドアタックはうまく出来ていましたけど、札幌の守備はなかなか"ずれ"てくれませんでした。
 それとケンペスは好調だと左右に流れたがるのですけど、もう少し中にいてほしかったかなと。
 前を向いてボールを持つ形が好きな選手なだけに、相手のスペースを突こうという意図もあるのでしょうし、実際ケンペスが遅れて入ってきてゴールを奪うシーンも少なくはありません。
 しかし、相手中央の守備が固かったからこそ、中央でケンペスに競ってほしいと感じるシーンも多かったように思います。
■ミスからもったいのない失点
 後半に入ってからは、ジェフの運動量がかなり落ちてしまいました。
 選手の距離感が空いてしまって1つ1つのパスの長さが伸びてしまい、運動量が足りないためパスコースも減ってしまう状況に。
 パススピードも落ちていってしまって、パスワークで相手を揺さぶれなくなっていきます。
 前半好調に見えたケンペスも、後半からは歩いている時間が一気に増えていましたね。


 切り替えも遅くなり、プレスも効かなくなって、中盤が間延びする展開に。
 ここ数年のジェフに通じて言える傾向ですが、それでも攻撃時に人数をかける意識は強いので、こうなってくるとカウンターを受けることが多い。


 それでも後半途中までの相手の攻撃をなんとか耐えると、ジェフもパスワークから悪くない流れを作り出します。
 ここ数試合パスワークはうまくいっていますが、この試合の後半もボランチや左サイドを使ってボールを持てる展開では可能性も感じました。
 このあたりは以前よりだいぶ良くなっているというか、以前は足が止まるとパスも全くつなげなることが多かったですけど、この試合では後半もボールはつなげていた時間帯があり、そこからゴール前にラストパスを放り込む展開も作れていました。
 中盤のパスワークにおいて、ある程度オートマティズムが作れてきているから、運動量が落ちてもそれなりのものは作れるようになったのかなと。



 しかし、前半にはなかったイージーなミスなども増え、パスをつなげても前線の動き出しが足らず、決定機はなかなか作れませんでした。
 そして、後半35分。
 DFラインでゆっくりとパスをつないでいた流れで、竹内が米倉にパスを出しますが前に選手がいたため、米倉は竹内にバックパス。
 竹内には相手選手がチェックに来ていたため、竹内がこれを後ろにスルー。
 しかし、このボールを内村がスライディングで先に触って奪われ、そのまま失点。
 これで0-1としてしまいます。


 時間帯的にも35分となったところで、ジェフの選手たちに少しゆっくりと時間を使おうという意思が見え始めていたのではないかと思います。
 ボールを受ける前の米倉もフラフラと歩いていましたし、全体的に疲れもあったんでしょう。
 しかし、時間を使うにしても、しっかりとポジション修正はしてパスを回す形は作らないと。
 米倉がもっと早くワイドに開いてポイントを作れば、すぐに竹内に返さなくて済んだし、もっと広く早い展開でパスを回せていたんじゃないでしょうか。
 この場面でも米倉にパスを出した竹内は、すぐに下がって受け直す姿勢を取ろうとしていました。
 そういった細かなポジション修正が今期のパスワークを作り出し、そこが昨年はあまり見られなかった部分だと思うだけに、そこを大事にしていってほしいところです。


 もちろん、竹内の判断ミスというのが一番の問題だとは思います。
 スルーではなく自分で持つか、サイドにクリアすれば、失点は免れたかもしれません。
 けれども竹内が受け直そうという時点ですでに状況は危うく、岡本も反応がそこまで悪くなかったと思うことを考えれば、そこまでの状況にも問題があったように思います。
 しかし、竹内への声掛けやその後のフォローなども含めて、反省しなければいけませんね。



 その後、ジェフはケンペスを中心に攻めたてます。
 これまでの試合でもそうでしたが、ケンペスは劣勢になるとどうにかしようという気持ちが強くなって、再び動き出すことが多いですね…(笑)
 戦術的な面も大きいですけど、これがまた代えにくい1つの理由なのかなと。
 その気持ちは買いたいところですけど、できればもう少し前から頑張ってほしい気も。
 そのケンペスのおしいシュートなどもあったのですが、0-1でジェフの敗戦となってしまいました。
■コンディションと急ぎ過ぎ
 長い目で見ると、いくら好調をキープしたとしても、ここからプレーオフまで全勝で行けるとは思ってはいなかったですし、どこかでつまずくことはあるだろうなぁとは考えていました。
 後のない札幌も堅守を中心に気持ちのこもった良い試合をしていたと思いますし、ジェフもそこまで悪い内容ではなかった。
 やられたパターンとして自分たちのミスからというのはすごく残念でしたけど、逆に言うと崩されてやられたわけでもないですしね。



 しかし、気になるのは、前節横浜FCから同じ課題が見られたように感じること。
 1つはコンディション。
 前節もそれまでの数試合に比べて運動量が足りず、全体的な押し上げや選手の距離感の広さを感じた部分がありましたが、札幌戦ではより明確に後半からの失速という形でそれが明るみに出てしまいました。


 大事なのはそれがどういった理由からなのか。
 アウェイ2連戦による疲労なのか。
 それとも、コンディションのピークが10月でそれが過ぎてしまったのか。
 後者ならば、これからプレーオフに向けてあげていけるのかどうかが、すごく心配なところです。
 例えば今季の徳島もここにきて失速してしまったし、昨年の横浜FCなどもプレーオフまでにピークは過ぎてしまった気もするし、うまくプレーオフまでに合わせていけるかという点は非常に重要ですね。



 それともう1つは、攻撃時の急ぎ過ぎ。
 前節の試合後、相手の前へ前へという姿勢に合わせてしまったのではないかと話しましたが、今節も同じように前へ急ぎ過ぎた印象があります。
 相手のCB+河合が強い上に見事に統率されており、そこを避けようという意図もあったのかとは思いますが、それにしてもアバウトに前へボールを蹴りすぎていた印象で。


 確かにアバウトでも前にボールを出せばチャンスになる可能性はありますが、相手中央の守備がしっかりとしていたからこそ、成功する確率は高いものではなく…。
 横浜FC戦でそのアバウトなボールからゴールが決まってしまったから、そういったボールが増えてしまったのか。
 あるいはケンペスがなまじ競り勝ててしうから、そこに委ねてしまったのか。


 まぁ、それだけではなくチームとしてシュートが少ないという課題もあるため、もっとシンプルに前へ裏へという意識を高めていこうという意図もあったのかなとは思いますけど、緩急の急ばかりでは相手も攻撃に慣れてしまう。
 一発で中長距離のパスからゴールを狙うがために、それを簡単に跳ね返されて二次攻撃、三次攻撃と続いていかないケースも多く、厚みのある攻撃を作れない印象を受けました。
 焦らず、もっとバイタルエリア付近でパスをつないで落ち着きを作る。
 あるいは、高い位置でタメを作ってからの攻撃を作る…といった形を、もっと狙いたいところではないかと思います。


 ここ2試合はちょっと攻撃が淡白な気がします。
 まぁ、厚みのある攻撃を作るためにも後方からの押し上げがもっとほしいところで、そこは先ほど言ったコンディション次第というところもあるのでしょうし、状況次第ではもちろん早く攻めたい時もあるとは思いますが。



 残り試合数も少ないですから大きな変化は加えられませんが、調整の範囲で何とかできるところも十分あるはずで。
 負けて3位が遠のいたのは残念ですけど、大きく落ち込むような試合ではなかったと思いますので、しっかりと修正して次に続けてほしいと思います。