ベッテルとレッドブルが4連覇を達成

 先週末行われたF1インドGP。
 ピレリのソフトタイヤが数周しか持たないという度のドライバーにとってもやりにくい状況でしたが、レッドブルセバスチャン・ベッテルは安定した強さを発揮し優勝。
 これによってベッテルは、ドライバーズチャンピオンシップで4連覇を達成。
 チャンピオンシップ4連覇はドイツの皇帝ミハエル・シューマッハーと50年代に活躍したファン・マヌエル・ファンジオに続き、史上3人目の快挙ということになります。



 これでベッテルはF1史上最も成功したドライバーの1人として肩を並べることになりますが、これはレッドブルレーシングの成功も意味します。
 レッドブルジャガーレーシングを買収して2005年からF1に参戦。
 ジャガーは自動車メーカーがこぞってF1に参戦した"ワークス時代"に出場したチームの1つでしたが、大きな成果をあげられずに1ドルでレッドブルに身売りすることとなりました。


 レッドブルは以前からザウバーのスポンサーなどを行っておりドライバー育成にも力を入れてはいましたが、飲料系メーカーである上に前身チームも失敗に終わっているということもあって、そこまで大きな期待は寄せられていませんでした。
 しかし、05年末にエイドリアン・ニューエイの加入を発表。
 "空力の鬼才"と呼ばれる天才デザイナーは、ウィリアムズ、マクラーレンなどでチャンピオンマシンを作り上げてきたデザイナー。
 名門マクラーレンでは様々な規制が厳しくヨットレースへの転向や、レッドブルの前身ジャガーへの移籍の話もありましたが、まさか新興チームのレッドブルに加入するとは思われていませんでした。


 レッドブルではすぐには結果は出ませんでしたが、チームはニューエイが活動しやすい環境作りを徹底して行った印象で、人材補強も含めてニューエイを中心とした編成を確立。
 現在となっては、あのジャガーレーシングがまさかここまで変貌するとは…と思うほどの強豪チームに生まれ変わりました。



 ニューエイのデザインしたマシンはここ数年圧倒した安定感と速さを見せつけ、それもあってベッテルの実力に疑問符を投げかける声も少なくなかったわけですが、ここ数レースは単純なポールトゥウインだけでなく追い上げてからの"強さ"も発揮。
 決してマシンと運だけではないことを、見せてくれていると思います。
 最年少入賞、最年少ポールポジション、最年少優勝、最年少チャンピオンなど数々の記録を塗り替えてきたベッテルですが、今週末にはアブダビGPが行われここで勝てば7連勝となり、ミハエル・シューマッハアルベルト・アスカリが持つ最多連勝記録にも並ぶことになります。
 今年はまだ残り3レースありますので、今期中に連勝記録を更新する可能性も出ています。


 気の早い話ですが、ベッテルが来年チャンピオンを取れば、前人未到となる5度目のチャンピオン獲得ということになります。
 しかし、来年はレギュレーションも大きく変更となり、エンジンにかかる部分が大きくなるとも言われていますから、もしかしたら難しいシーズンになる可能性もあるかもしれません。
 そのあたりも非常に興味深いところではありますが、まずは今年の残りレースをベッテルがこのままの勢いで勝ち進んでいくかどうかが注目ではないかと思います。



 次の更新は月曜日予定です。