相手の展開ながらも競り勝ってリーグ戦3連勝

 昨日のジェフ戦まで7試合負けなしの横浜FCは、これを落とせばプレーオフ出場がなくなる可能性もあったそうで。
 それもあってか、非常に攻守に激しいサッカーをしてきた印象です。


 ジェフの方も神戸、G大阪が勝ったことによって自動昇格はなくなったそうですが、それに関してはもはや期待もしていなかったことですので今さら気にするところではないと思います。
 今はもうプレーオフを目指して、J1昇格への3枠目を狙うことに集中したいところですね。
■プレスの掛け合いから田中が先制
 キックオフから、横浜FCが積極的に早い仕掛けをしていきます。
 ジェフDFラインの背後を狙う長いボールを多く使って、一気に攻撃を展開。
 この日のジェフは怪我の影響かスピードのあるキムが欠場したということもあって、相手の速さに付いていけていないシーンが多かったですね。


 スペースに出されたロングボールに対して、ジェフの選手が追いつけずしっかりと寄せられない。
 うまく寄せることができたとしても、単純なスピードで相手に負けてしまう。
 ただし、その分相手の攻撃は単発になっていた印象もあり、第一波を粘って凌げれば何とかなるという感じもあったかなとは思います。
 相手の決定力に助けられたシーンもあり、序盤をなんとか失点で抑えていきます。



 攻撃に関しては落ち着いてボールを持てればチャンスも作れていましたが、相手のプレスに対して焦ってボールを蹴ってしまうシーンや、高い位置からのプレスにかかってボールをロストする場面も多かったですね。
 特に山口慶がCBとパス交換をするところで奪われることが多かったので、ここは1つの課題と考えられるのかもしれません。
 それでも田中を中心としたジェフのプレスも機能しており、ボールを奪ったところからチャンスを作れていました。


 前半33分。
 健太郎からのアバウトな縦へのボールに対して、田中が反応。
 相手DFが先に体を入れていたのですがうまくボールを処理できず、スッと田中が抜け出して先にボールに触ってゴール。
 ジェフの攻撃は相手に合わせてしまう形で、前に急ぎ過ぎているのかなと思っていたのですけど、このシーンではそれがゴールに結びついたことになります。
 横浜FCは全体的にハイテンポで前への意識が高かったので、結果的にその意識の裏を付いた形と言えるのでしょうか。



 先制点を奪った後はジェフペースになり、相手の攻撃シーンも少なくなっていきました。
 横浜FCは前の3,4人が絡んでの中央でのプレスは厳しかったですけど、そこさえ避けてしまえばスペースはある印象で。
 山口智からの一発でのサイドチェンジもそれがあって狙えていたと思いますし、前方では田中や兵働などもうまくスぺースに入りこめていたと思います。
■試合終盤に一瞬の隙をついて
 後半スタートもジェフペースでしたが、追加点を奪えずにいるとジェフは守備面で若干集中が切れた印象で。
 右SHの兵働が攻守おいて中に絞ってプレーする状況で、横浜FCは後半から兵働の外を使おうという狙いだったかなと思います。
 兵働は守備範囲も広くないですし、後方の米倉も守備でスペースを消せるような選手ではないですから、そこでポイントを作られると対応が難しい。
 そこから徐々に流れが相手に傾いていったのかなと思います。


 そして、後半9分。
 相手右サイドのクロスから、合わせたのは黒津。
 竹内が競ってはいましたけど、相手が競り勝って同点となるゴール。
 山口智、竹内の両CBは身長もあって跳躍力もあるとは思うのですけど、アジリティに問題があるため空中戦で半歩遅れることが珍しくなく、このシーンでも競り合いに少し遅れた分やられてしまいました。



 後半14分。
 ジェフは兵働に変えて谷澤を投入。
 これで右サイドの守備もある程度は安定し、その後は一進一退といった展開に。
 しかし、ジェフは悪くはないのだけれど、前半同様に前へボールを急いで動かし過ぎていた印象で。
 もう少し落ち着いてボールを回せればと思っていたのですが…。



 このまま試合は動かないかな…とも思うようになってきた後半40分。
 後方で竹内がボールを奪うと谷澤にパスを出し、そのまま右サイドを駆け上がってボールを受け直しセンタリング。
 これをケンペスが合わせて勝ち越しゴール。


 この時、田中が前に突っ込んでいって、谷澤もニアにいて、後方から入ってきたケンペスが合わせて決めた形でした。
 ボールが上がる時点で中央に3人いたというのは、大事なポイントだと思います。
 また膠着状態だったからこそ、竹内のボールを奪ってからそのまま上がる姿勢が効いたシーンだったとも思います。
 そのまま逃げ切って、ジェフの勝利となりました。
■自分たちの土俵ではなかったものの
 ジェフからすれば、決して良い試合だったわけではなかったというか悪い試合内容でもないですけど、自分たちの土俵では戦えなかったかなと思います。
 相手の前への意識の強いサッカーに対して、自分たちも合わせてしまった印象だった気がします。



 この試合でのポイントは、両チームともに守備面での集中力だったのかなと。
 ジェフの1得点目も相手の前への姿勢の裏を突いた形で、パスの出所である健太郎へのチェックも甘かったし、田中への守備も疎かだった。
 ジェフ2点目も相手のスタミナの問題もあって、スペースができ始めた時間帯に決まったところがありました。


 逆に失点シーンでも直接的には影響はなかったですけど、右サイドの守備において穴をつかれたところから流れが悪くなっていったと思います。
 兵働が攻撃時に中央によることで、米倉の前が空き攻撃参加させやすくはなるのですけど、逆にその動きによって兵働の横が空きやすくなる問題というのは、以前から心配な部分ではありました。
 兵働の出来が悪かったわけではないとは思うのですけど、サイドの穴を埋めるスピードなどには課題もあり、米倉も守備が得意ではないだけに、今後悩ましい問題になってくる可能性はあるかもしれません。
 それでもその時間帯までは大きな穴にはなっていなかったと思うのですけど、なかなか追加点が奪えないところで一度気持ちが切れてしまい、穴が明確に出てしまったのかなと思います。



 理想を言えば、ハイテンポできた相手のサッカーに合わせず、もっと自分たちのペースで戦える時間帯を作りたかったところではないかと思います。
 もちろんジェフも前からのプレスが効いていたのは大きな収穫だと思いますし、高い位置でボールを奪えればそのまま攻め込むのはいいことだとは思います。
 しかし、相手の守備人数が足りている状態でも、前へ前への展開が多かったというのは、課題ではないかなぁと。
 確かに横浜FCの守備ブロックにも甘さを感じ無理に縦パスを出せば通ってしまうようなところはあったと思いますけど、時間帯によってはより明確な相手の隙を狙うボール回しというのもあっても良かったのではないかと。
 それが今季のジェフの基本路線だったはずですし。



 ただ、まったく自分たちのサッカーが出来なかったといえばそうではなくて、例えば後半に見せた米倉から田中へ鋭いクロスが上がったシーンでは、右サイドからいったん中央のボランチにパスを出して右斜め前の米倉へと展開されました。
 サイド、中、斜め前とボールを振ることによって、相手の対応も難しくなったはずです。
 縦へのパスだけでなく、ボールを回して相手を揺さぶって…という流れが今季の大きな狙いであり、それが早いテンポの中でも作れたというのは見逃せないポイントではないでしょうか。
 もっとそういった形を増やせるようになることが、理想なのかなと。


 それでも全体的な流れで言えば強引な縦パスも多く、自分たちの狙う展開ではなかったと思います。
 しかし、そういった展開でも、相手に勝てたというのは大きいでしょう。
 こういったガツガツした激しい試合というと、最近では東京V戦を思い出します。
 また少し種類は違う試合だったしジェフも2トップを試して失敗した試合ではありましたが、あの試合では全く良さが出せずに完敗したジェフが、この試合では相手を上回って勝つことが出来た。
 そう考えると、チームはあれからしっかりと成長しているといえるのではないでしょうか。
 まだジェフのプレーオフ出場が決まったわけではないですけど、プレーオフ本番でどういった試合になるかもわかりませんし、様々な試合に対応できる…というか、どんな展開でも相手を抑え込めるだけの強さを、できるだけ身につけていきたいところですね。