セルビア戦、ベラルーシ戦で2連敗

 先日行われた日本代表対ベラルーシ代表は、0-1でベラルーシ代表の勝利となりました。
 ベラルーシ旧ソ連国家でロシアリーグでもプレーする選手が多かったので、巻がアムカル・ペルミに加入していたころに良く見ていたロシア国内のサッカーを思い出しました。


 序盤は積極的に日本代表の選手たちが攻めていきます。
 セルビア代表戦での試合も内容に乏しいものだったので、選手たちもどうにかしようという思いが強かったのかもしれません。
 しかし、単発でのドリブル突破などが多く、そこに2人、3人と別の選手が絡んでいくことはなく、相手としても対応のしやすい状況だったと思います。
 ロシアリーグ出の多くチームもそうでしたが、べラルーシもある程度のところまでは相手にもたれて攻められてもいいという守り方で。
 最後のところでサイズのある選手たちが跳ね返してカウンターというのが、基本的な狙いですね。
 W杯予選でスペインと戦った直後ということで、余計に攻め込まれることに慣れていたところがあったのかもしれませんが。



 試合が落ち着いてからは日本のドリブル突破も少なくなり、中央からのパス回しが増えていきました。
 しかし、相手ボランチのマークも厳しく、キーマンとなるべき本田が下がって受けることが多かった。
 本田がゴールに背を向けてのプレーが多く前を向けても低いエリアで、本田からラストパスが供給できない。
 これだけで日本のパスワークは機能しなくなり、連携面の"浅さ"を感じるところがありました。


 前半途中からは相手の疲労もあってか、本田がバイタルエリアで受けようとする回数も増えましたが、逆に本田へのパスコースを狙われてカットされるシーンが目立っていました。
 本田への厳しいチェックなどでも見られましたが、パスカットのところでも感じたのが相手の足の長さ。
 これもロシアリーグでも感じましたけど、あちらの選手たちは身長の高さやサイズだけなく足が長いので「この間合いなら大丈夫だろう」という場面でも、足が伸びてきて奪われてしまうところがある。
 加えて、この日の失点シーンでも感じましたが、サイズがあって足が長い分ミドルシュートやロングパスにおいて、パワーのあるキックをけることができる。
 この辺りが旧ソ連系チームの特徴とも言えるのかもしれません。


 こういった部分というのは試合をこなしてこそ体感できることですし、日本の選手たちにとっては良い経験…と言いたいところなのですけど、本田はそこに慣れているはずなんですから、もっとうまくやってほしかったですね(笑)
 以前、本田が国内組の選手に海外移籍を勧めたという記事が出ていましたけど、海外を経験しても身になっていないのなら意味がないわけで。
 他の選手が戸惑うのならともかく…と思ってしまいました。



 後半途中からは3-4-3に変更。
 しかし、以前にもこのチームでは同じことが起こっていましたが、相手のブロックの間に3トップがスポッと吸収されてる形でまったく機能していませんでした。
 役割分担がはっきりしていないのは明白で、本田が1トップだったわけですがトップ下でのようにバイタルを狙って受けるべきか、前にいるべきなのか、本人も迷ったのではないでしょうか。
 結局攻撃が機能していなかったということもあってボールを受けに来ていましたけど、前半のように低い位置で受ける形となってしまい、3トップの意味も感じない状況に。


 しかも、中盤で本田が前を向いたとしても、前にいるのは広く開いたウイング2人ということでパスの出し所がない。
 かといって、ウイングバックでゴリゴリとしかけるようなサッカーにもなっていませんでしたしね。
 「3-4-3は3トップをやめるため」とザッケローニ監督は言ったそうなのですけど、その3トップで何をやりたいのかという部分がピッチ上から見えてきませんでした。
 結局4バックに戻してしまいましたしね。



 戦術的にはここ数試合で何をしたいのかほとんど見えてきませんでしたけど、それでも次に戦うオランダ戦ではいい試合ができるかもしれない。
 メンタル面もそうですけど、強豪相手ならやれることとやれないことがはっきりしますから、その分戦いやすいというのはあるのでしょう。
 現状だとあまり強くない相手だと、いろいろやれてしまう分サッカーがぼやけてしまう印象もありますし。
 まるで去年のジェフのように…(笑)


 ただし、それでも強豪相手に勝てるところまで行けるかといえば、疑問もあります。
 南アフリカW杯でも最後の数ヶ月でやり直せたから、今回もそれができるかといえばそう甘く考えることは出来ないんじゃないでしょうか。
 岡田監督は一発勝負のスペシャリスト的なところがあって、相手チームとこちらの長所と短所をすり合わせてうまくまとめることができる。
 しかし、ザッケローニ監督にそこまでの分析力はないと思うし、器用さのある監督でもないと思います。


 オランダ代表戦で格上相手のサッカーが出来れば…と言いたいところではありますが、コンフェデでもそれは無理だったしあの大会での敗退以降も改善の兆しは見えていおらず、むしろコンフェデを経験して混乱しているようにすらも見えなくはない。
 そうなってくると後はもう選手に頼るしか…ということになるわけですけど、結局それはこの日の冒頭のような個人技サッカーにしかならないかもしれないわけですからね。


 南アフリカW杯での成功を経験して日本サッカー界が油断しているところもあるのかもしれませんから、そういう意味では来年苦しむのも悪くない…とも言えるのかもしれませんけど、ドイツでの惨敗以降の雰囲気の陰りを思い出すとそれも怖いのですよね。
 それこそJリーグ人気にも、かかわってくるかもしれないし。
 もういっそチームを全て壊してやり直す方が良いようにも思うわけですが、それをどういった形で行うべきなのか。
 それが出来るだけの勇気があるのかどうか…という問題も出てくるかもしれませんね。
 少なくとも今は1トップだけ切り替えて何とかしようという感じですが、そんなに簡単な問題でもないような気もしますし。



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