韓国GPとモータースポーツ文化

 さて、マーシャルの動きや、消防車両の緊急コースイン、ガラガラなスタンドなどが話題になってしまった韓国GP。
 確かにお粗末なレース運営ではありました。
 しかし、twitterでも話しましたけど、根本的な問題は韓国にモータースポーツ文化が根付いていないこと。
 普段から国内レースもあまり行われておらず、レースをどうやって楽しみ、どうやって運営していけばいいのかわからないから、マーシャルも成長していかないし、GP自体も盛り上がらない。
 ですので、普段モータースポーツに興味がなく、今回のレースも見ていないような人たちが韓国GPの運営を批判しているのであれば、それはすごく違和感でしかありません。
 「レースを知らない」という意味では、違いはないのではないかということですね。



 実際、韓国GPはここ数レースの中でも非常に面白いものとなりました。
 序盤はレッドブルマーク・ウェバーが10グリッド降格もあって、どんどん前のマシンをパッシングしていき。
 中盤以降は好調ザウバーニコ・ヒュルケンベルグが、地味ながらも確実なディフェンス能力を見せ。
 終盤に差し掛かったところでは、ロータス2台の接近戦からキミ・ライコネンがチームメイトを見事に抜き去り。
 バトルの多いエキサイティングな決勝レースだったと思います。


 観客が少なく、周辺ホテルの建設なども予定通りに行われていないなど、環境面ではドライバーにも評判の悪い韓国ですが、コースレイアウト自体は決して悪いものではない。
 むしろ2つのストレートによりパッシングポイントもあって、テクニカルなエリアもあるこのサーキットは、評判のよくないヘルマン・ティルケ設計のサーキットの中でも評価の高い部類に入るのではないでしょうか。
 それだけに来年以降韓国GPが開催されない可能性があるということに関しては、若干残念な思いもあります。



 近年F1の大きな資金源だったタバコ広告規制も行われ、中東も含むアジア諸国での開催が積極的に行われるようになったという背景も関係しているのではないかと思います。
 それによってモータースポーツ文化のまだない、韓国などでもF1開催が決まってしまったと。
 一方でF1は新たな資金源を求めて、ロシアやメキシコ、アメリカなど開催国を広げようとしています。
 韓国と同じく近年開催が始まったインドGPも再来年の開催は行われないことが決まっていますし、トルコも素晴らしいサーキットがありながら観客動員の不振もあって開催国から外れています。


 鈴鹿ですらもホンダ、トヨタブリヂストンなどの撤退もあって一時は開催を危ぶむ声がありました。
 それでも開催を続けられたのは、素晴らしいコースレイアウトもあるでしょうが、韓国GPで優勝したレッドブルセバスチャン・ベッテルが表彰式で語ったように「熱狂的なファン」がいるからというのも大きいのではないかと思われます。
 もちろんマーシャルやスタッフなどのレース運営も素晴らしく、ドライバーやスタッフを暖かく迎える環境が整っている。
 それこそがまさにモータースポーツ文化なのでしょうし、鈴鹿にかかわった多くの人たちの努力の賜物ではないかとも思います。


 ただ、一方で世間一般から見れば、F1を含むモータースポーツの人気は決して高いものではなく、現に地上波放送なども打ち切られている。
 ホンダがF1復帰しても成功するかは全くわからないし、空白の数年の影響というのも十分にあり得ることでしょうから、日本だって悠長にしていられないのではないかと思います。


 まずは今週末の鈴鹿において、素晴らしい雰囲気とサーキットの下、素晴らしいレースが行われると思いますから、ぜひとも1人でも多くの方に見ていただきたいところではないかと思います。
 地上波での放送がないのが残念ではありますが、今季のチャンピオンが決定する可能性のあるGPとなりましたし、ぜひ盛り上がってほしいところです。