打ち合いからの勝利で突破口は見つかったのか?
5試合ぶりということで、本当に久々の勝利でしたね…。
なんとなく、この数週間が長く感じた気もします(笑)
ただ、大事なのはこの試合が次につながるかどうか。
ここまでの未勝利の流れを、払拭する内容になったのかどうか。
基本的には、もう1試合1試合頑張っていくしかないとは思いますけどね。
自動昇格も楽ではない状況になってしまいましたけど、プレーオフへの準備はシーズン残り数試合になってくるのかなとも思いますし。
もしプレーオフとなればリーグ戦の最後に米倉やケンペス、CBなどを休ませるなんてことも考えたりもしますけど、とりあえずは目の前の試合に集中しなければいけませんね。
■田中の動き出しで攻撃を活性化
試合開始早々にジェフが失点。
正面からのFKに対して、ゴール前の中央で相手をフリーにしてしまい、そこからやられてしまいました。
たぶんグラウンダーのパスが出てくるとは、考えていなかったのではないでしょうか。
それにしてもあそこをフリーにしては…といった感じで、ジェフが出鼻をくじかれてしまいました。
それ以降もジェフはミスが目立ちます。
失点の原因になったファールも、竹内からの健太郎への不用意なパスを相手に奪われたところから。
相手のプレスが積極的だったのもありますが、雨がらみののコンディションもあって芝の状況も悪く、ボールがうまく走らなかったのかもしれません。
竹内に限らず山口智や健太郎も含めて、ジェフの守備陣がうまくそこにあわせられなかった印象でした。
経験は豊富な守備陣なはずですから、もう少し賢い判断をしてほしかったのですが…。
しかし、序盤の展開から徐々に落ち着きを取り戻すと、ジェフも攻撃の形を作っていきます。
初めに攻撃のチャンスを作ったのは、右SBに戻った米倉のクロスに対して、うまく左サイドの田中が相手DFの前に入ったところから。
残念ながらボールが足元に入りすぎてしまってゴールにはなりませんでしたけど、ゴール前へのいい飛び込みだったと思います。
その後も、田中の運動量で相手の守備陣をかき回します。
前節もケンペス含め運動量は改善していたと思うのですけど、ゴール前への思い切りの良い仕掛けだとか飛び込みという部分は物足りなさを感じました。
前節2列目でプレーした伊藤や大塚、谷澤なども裏を狙う動きは意識的に増やしていたと思うのですけど、田中ほどダイナミックに長い距離を走ってゴール前に飛び込んでいくということは少なかったように思います。
田中の積極的なスプリントによって、パスワークにおけるターゲットが増え、相手のマークも分散したというのが大きかったと思います。
そして、前半29分。
右サイドで伊藤がボールを持って、ルックアップ。
米倉もオーバーラップを仕掛けますが、そこは使わずそのままクロス。
精度の高いボールが上がって、ケンペスがしっかりとヘディングで合わせて同点にします。
このシーンでもファーにしっかりと田中が飛び込んで、相手のDFラインを広げる形になっていました。
ニアには大塚も走り込んでしましたね。
30分にも田中が中盤でボールを持って、そのままドリブルシュート。
これはGKに弾かれますが、田中は運動量豊富に動き回ることで、攻撃の停滞感を払拭する思い切った動きを見せてくれました。
■ケンペスがハットトリック
後半もジェフペース。
積極的に田中が前に出ていく分、ケンペスは下がったりサイドに流れたりというプレーが増えていった印象もありました。
前半は右の伊藤と米倉でチャンスを作って左の田中が飛び込むという形がうまくできていたようにも思ったのですが、後半は田中に引っ張られる形で高橋からの攻撃も増えていきました。
悪くない流れでしたが後半6分。
中盤でボールを失ったところから、福岡の坂田にボールが入り、竹内と一対一に。
エリア的にもタイミングにしても十分に対応できる余裕はあったと思うのですけど、竹内がうまく寄せきれずそのままシュートを放たれて失点してしまいます。
山口智もそうですが、竹内も一対一へのドリブルへの対応が不安がありますね。
しかし、その直後。
ジェフ左からのクロスで流れてきたこぼれ球を、米倉が拾って思い切ったミドルシュート。
これが見事に決まって、同点になります。
距離もあってコースも少ない状況だったと思うのですけど、勢いで決めたというか。
ともかく凄いシュートでした。
両チーム共に疲労の色が増してきた後半20分、健太郎に変えて森本を投入。
ケンペスと森本の2トップにして、伊藤と勇人のダブルボランチにしました。
その直後。
ケンペスが後方からのボールを相手と競り合って、縦にボール持ち込み、そのままシュート。
これが決まって2-3となります。
ケンペスの裏へのスピードも素晴らしかったですが、抜け出す瞬間に相手のチェックがあったものの、それに負けずにゴールに持ち込める。
これがケンペスの強さというか、持ち味ですね。
続いて後半26分。
左サイドで森本がボールを持つと、中央のケンペスにパスを出し、ケンペスはそのままドリブルで持ち込んでシュート。
これでケンペスはハットトリック。
森本がボールを持った瞬間の相手サイドの選手の寄せも含めて、若干福岡の守備の集中力が切れていた印象があります。
雨も降っていて、逆転されてしまったことも影響していたんでしょうか。
その後、大塚に変えてキムを起用し米倉を1列前にあげ、キムは右SBで起用。
続いて高橋に変えて大岩を投入します。
当然守備固めという点もあるのでしょうけど、今期のジェフは基本SHが中で中盤的な動きをすることになりますから、その分SBはアップダウンを求められて消耗が激しいのだろうなぁとも思います。
だから、SBの交代が多くなるし、ベンチにもSBが多いということですね。
試合終盤はジェフが守る展開。
相手がパワープレー気味の状況になって、ジェフの前からのプレスも効かなくなり、守備陣がかなり押し込まれてしまいました。
特にボランチがDFラインに吸収されすぎていることが気になっていたのですが、中盤から見事なミドルシュート放たれて1点返されてしまいます。
しかし、福岡の反撃はそこまでで、試合終了となりました。
■突破口は見えたのか
さて、久々の勝利ですが、この試合の焦点はこれが今後に繋がるかどうかですね。
3-4での殴り合いの試合をジェフが制した試合。
実際、守備はひどいものだったとと思います…お互いに(笑)
ジェフは相変わらずセットプレーでの守備に課題がある。
セットプレーだとジェフの守備陣が苦手とする一対一の守備を求められるというのも大きいのでしょうけど、今回のように集中力を欠くシーンも目立ちます。
ベテランが多いのですから、そこは声掛けなども含めてどうにかしてほしいところですが。
また、セットプレー以外でも竹内と山口智は、ドリブルへの対応に難があることが明確に出てしまいました。
2失点目以外でも2人が対面する相手ボールホルダーのフェイントに引っかかり、シュートまで持ち込まれるあぶない場面が目立っていました。
特に竹内はここ数試合、相手チームに狙われていて、積極的にドリブルを仕掛けられる場面が多いように感じます。
勝利のなかった過去4試合の累計で言うと、ジェフは4試合で7失点もしています。
この試合も含めると5試合で10失点。
失点の多さが大きな問題となっていただけに、この試合でもこの点に関しては問題解決とは言えず、今後も心配な要素と言えるのではないでしょうか。
CBバックのスピード不足、パワー不足(この試合でもうまくロングボールを跳ね返せないシーンがあった)だけでなく、ミドルシュートからの失点も多くボランチで跳ね返せない問題、ボランチがDFラインに吸収される問題も相変わらず気になるところだと思います。
一方で攻撃に関してですが、相手のCBも当たりの面で強さが足りなかった印象があり、戦術的にもジェフにとってはやりやすい部分があったように思います。
2試合の出場停止明けからコンディションが若干回復した印象のあるケンペスが頑張ったという印象もあるのですけど、それにしても福岡のCBの寄せが甘すぎたという印象が残りました。
また、結果が出なくなった頃から、相手にサッカーを研究された印象がありますが、福岡は外国人監督ということもあってか自分たちのサッカーをしてきた印象があります。
ジェフ対策としてここ数試合、数少ない攻撃のラストターゲットであるケンペスにマークを集中され、ケンペスが前を向けない状況を作られること。
そして、バイタルエリアのスペースを潰されるということをやられてきました。
しかし、福岡は1トップと5人の中盤で積極的にプレスをかけて、ボランチもあまりバイタルエリアを警戒してこなかった。
加えてDFラインも積極的にラインを上げて、コンパクトな守備を心掛けていた。
だからケンペスへのマークも今までのように複数人ではない状況で、相手のタックルに一度耐えさえすればチャンスを作ることが出来た。
また田中の裏への飛び出しや運動量によるDFラインへの揺さぶりが効いていたのも、相手DFラインの高さが大きかったように思います。
だからこそ、相手がしっかりとジェフ対策をしてきた試合ではまだわからないというか、「突破口が見えたのか」どうかに関してはまだ不安もあるのだろうなというのが、現段階での正直な感想になります。
守備に関しては今回も失点が多く不安要素が多いし、攻撃陣も相手が引いてきた状況ではどうなるかわからない。
ただ、久しぶりの勝利によって、悪い流れというか雰囲気に関しては変えられるかもしれない。
ここまで悪くない状況でもアンラッキーな失点などが多かった印象もあるし、攻撃においてもこの試合で4得点できたことで勢いがつく可能性もある。
また、攻撃では田中や森本の有用性がはっきり出た試合でもあったと思います。
前半までは田中の飛び出しと運動量が攻撃を活性化していたし、森本投入からは前に強さが2つできたことによってケンペスへのマークも分散された。
田中の動きなどに関しては相手が引いてきたときにどうかという疑問も残りはしますが、ゴール前への飛び出しが足りていなかったのもまた事実で、このあたりが今後の試合でもうまく活かせるようになれば、今までのようにビルドアップの形は出来ても最後のところでもう1つ…といった部分が解消される可能性もあるかもしれません。
ともかく、この勝利を次に結び付けられるかどうかが、何よりも大事です。
反省材料はまだまだあると思いますし、しっかりと課題を見つめつつ、この勝利を今後に対しての勢いに変えてほしいところだと思います。