厳しい状況だからこそ気持ちを切らしてはいけない

 先日ジェフに加入した森本ですが、Jリーグの登録には間に合わず来週の岐阜戦が最短でのデビューということになるようです。
 層の薄いポジションですしケンペスも2試合の出場停止がありますから、早期出場も期待したところがありますがこうなっては仕方がないですね。


 戦術的にも今期はかっちりと作り上げていますし、この1週間でしっかりとジェフのサッカーを学んでほしいところだと思います。
 加えていくら層が薄いポジションで元日本代表選手とはいえ、いきなりメンバー入りとなっては周りの選手もあまり良い気持ちはしないかもしれません。
 今はしっかりとコンディションを調整して欲しいところです。
 考えてみれば、出場停止明けのケンペスといきなりポジションを争うことになるということになりますね。
■2点奪われたところから1点挽回
 昨日行われた松本山雅戦ではケンペスも不在、森本も間に合わずということで、まず注目は前線の組み合わせが注目されましたが、田中の1トップというチョイスになりました。
 右サイドには兵働がスタメンに戻りました。


 試合の方は松本山雅が、スタートからかなり激しく体をぶつけてきました。
 ジェフの相手選手の間を狙うパスワークなら、その間を作らないようにスペースを守るのではなく、人についていけばいい…という発想だったんでしょうか。
 攻撃でもボールを奪ったら勢いよく前に飛び出していく、カウンターアタックを見せてきました。


 ジェフもそれに対して、じっくりとパスを回す形を作れていたとは思います。
 前節の北九州戦では前半の動きが非常に悪かったので、前半の入りに気を付けていたのかなと。



 しかし、悪くない試合への入りを見せていたジェフですが、前半5分。
 ジェフから見て左サイドのFKに対して、山口智が戻りながらヘディングでクリアするのですがこれが中途半端で相手にボールを拾われて、ミドルシュート
 最後は長沢に詰められて失点してしまいます。


 対してジェフも直後に兵働の鋭い直接FKがゴールを狙いますが、GKにはじき出されそれを拾った米倉のシュートも決まらず。
 1点を奪い返したいジェフでしたが、前半15分に再び失点。
 中盤で兵働がボールを受けようとして上手く保持できなかったところから、カウンターを受けてしまいます。
 中央からフリーで喜山がボールを持ちあがってきたところで、竹内は長澤がいたためアタックに行かず、後追いで谷澤がチェックに行こうとしていたところをミドルシュートを放たれてやられてしまいました。
 兵働のところでのボールロストももったいなかったですが、山口智もいましたので竹内も前に出られなかったかなぁと。


 このシーン以外でもそうでしたが、ジェフのCBはドリブルへの対応が苦手だとスカウティングされて、狙われていたのかなぁとも思わなくないところが何度かあって、そこから危ない形を作られていた印象です。
 それと2失点目のカウンターを受ける前に左サイドでボールをつないでいたのですけど、そこから素早くサイドにパスを展開できなシーンが徐々に目立っていきました。
 ようするに素早いパスワークが出来ていない。
 これは出し手だけの問題ではなく、うまくパスコースを作れるようなポジショニングが出来なボランチなど中盤の選手の動きにも問題があったように思います。



 2失点目以降は松本山雅がより守備的な守り方をしてきて苦労しましたが、前半37分にCKから竹内のヘッドでゴール。
 1点を返して1-2で試合を折り返します。
■1点返すもまたもセットプレーから…
 1点取ってからは良いパスワークができるようになっていきました。
 単純に選手たちの運動量が増したというのもありますが、プレーに積極性が出てきたことも大きかったと思います。
 それまでは前の選手が受けに来ても縦パスを出すのをためらうシーンなども多かったですけど、1点取ってからはそういった迷いがなくなっていた印象です。
 単純なシュートや仕掛けなどだけでなくて、パスで崩すのが狙いなはずですから、縦パスを思切って出せるかどうかが大事なはずで。
 こういったこういったプレーが1点奪う前からできるようになればいいのですが…。


 前半もう1点取りたい流れで得点できず、少し心配な展開でもありましたが、後半になっても流れは変わらず。
 55分には兵働に代わってナムが投入されます。
 兵働は時折良いパスなどは見せていましたけど、やはりちょっと動きにスピード感がない印象ですね。
 コンディションが万全ではないのか、シーズン終盤に向けて大事な選手の1人だと思うのですけど、現状だとちょっときついかなと。



 そして、64分に竹内がこの日2度目となるCKからのゴール。
 これで押せ押せの流れになったかと思ったのですが、その5分後には逆にCKから失点。
 山口智が若い犬飼に競り負けてしまいました。
 他チームもそうですけど、やはり山口智のところを狙われることが多いですね。
 加えて大塚が一時的に負傷でピッチから離れていたシーンでの失点ということで、集中力を欠いていた印象もあります。
 試合の流れも含めて、残念な失点でした。


 その後もジェフがボールを持って、松本山雅がカウンターを狙う流れ。
 徐々に松本山雅も守備での動きが少なくなり、チャンスは作れていたと思います。
 前半から特に左サイドの高橋、谷澤などを中心にパスワークが作れていましたね。
 高橋が大きく開いて受けることによって相手右サイドを釣って、サイドと中央の間にスペースを作りそこに谷澤などが飛び出していく形を作れていました。
 米倉はそういったビルドアップ時のポジショニングなどは、1つの課題ではないかと思います。
 どうしても中央に寄りがちで、フリーになりきれないシーンが目立っていました。
 


 ジェフはゴール前への人数のかけ方も悪くなかったし、主に左サイドからクロスなども上げられてはいました。
 しかし、最後のところでボールが合わない。
 クロスの質の課題もそうですし、本職のCFWがいないということもあって、ゴール前の強さという点で物足りなさがったのかなと感じました。


 高橋はビルドアップはうまいのですけど、やはり最後のクロスの質やドリブル突破の面ではもう1つで。
 それと疲労と両方の理由で、鈴木隆雅に交代したのではないでしょうか。
 しかし、鈴木隆雅の積極性は、この試合では悪い方向に行ってしまっていた印象もありますね。
 スピードなどには可能性を感じましたが、状況判断力はこれからなのかなと。
■希望のない敗戦ではなかった
 試合は2-3でジェフの敗戦。
 珍しく最後まで走れていましたし、試合内容はそこまで悪くはなかったと思います。
 しかし、それだけに勝ちたかったですし、ここでの連敗は痛いですね…。


 数字だけで分析するのは好きではないですけど、2-3ですからまずは失点が多かったことが残念。
 特にセットプレーからの失点が2つもあったのは、素直にもったいなかったと思います。
 ただ、ジェフの方も2ゴールはセットプレーから。
 言い方を変えれば、流れの中でゴールが生まれていないことになります。



 後半良い形が作れたのにゴールが遠かったのも、やはりCFWがいなかったことは大きかったと思います。
 田中は頑張って動いていましたし、特に守備では大きく貢献していましたけれども、高さや強さなどの面では1トップとしてはもう1つ足りなかった印象で。


 それでも試合が進むにつれて、動き回るによって序盤よりは連携が改善されていったと思います。
 序盤は後方から他選手がボールを持ちあがってルックアップしても、ボールを受ける動きが遅かったりポストでの落としが合わなかったり、周りとの連携面が全くあっていませんでした。
 それもあって、前半途中まではチーム全体がうまくいっていなかった印象もあります。
 けれども徐々にくさびの受け方も改善されていって、そこからの落としの面でもプレーが安定していきました。


 しかし、ビルドアップの面は改善されたとしても、やはり攻撃の最後の部分に関してはCFWとしては物足りなさを感じて。
 そこが流れの中でゴールを奪えなかったことに関しても、後半もう1点奪えなかったことに関しても大きく影響していたように思います。
 まぁ、ただ本来はCFWタイプの選手ではないですから、仕方がないですよね。
 むしろ良く試合中にポストプレーの動きを改善していったと思いますし、言い方が悪いですが他に候補がいない中で誰かが犠牲にならなければいけないわけですから。



 非常に結果は残念ですが、ただ内容は良かったと思います。
 90分間動けたというのは大きな収穫でしたし、左サイドからのパスワークも作れていた。
 あとは攻守における強さの部分が欠けていた印象で、こうなってくるよより一層森本への期待は高まってしまうわけですが…。


 こんな時だからこそ、冷静に評価しないといけないところはあると思います。
 確かに連敗ではあるけれども前節北九州戦の敗戦とは内容が全く違ったと思いますし、希望の持てない敗戦ではなかったはずだと思います。
 毎年30節前後、勝点50点付近で足踏みしてしまうジェフですが、実際に内容もひどいことが多かった。
 しかし、少なくともこの試合は絶望的な内容ではなかったと思いますし、次につながる部分もあったはずではないかと思います。


 本当につらい状況だからこそ、踏ん張らなければいけない時期だからこそ、サポーターもここで気持ちを切らしてはいけないと思います。
 こういった状況で後ろ向きになるのは簡単ですけど、まだまだ可能性は残されているわけで。
 ここからはメンタル面も大事になってくるはずですし、今だからこそ共に戦わなけれいけないはずです。
 この状況で連戦というのは選手も大変だと思いますけど、チーム全体でここを乗り切れるかどうかが本当の勝負だと思います。