オーロイ、ロボの退団が決定

オーロイ選手契約満了、帰国のお知らせ(ジェフ公式サイト)
リカルド・ロボ選手の帰国について(ジェフ公式サイト)


 チームは天皇杯を勝ち残っていますが、オーロイとロボの退団が決定。
 それぞれ既に帰国ということになりました。



 昨年加入したオーロイの特徴は、なんといっても204cmの長身を活かした後方からのロングボールの"落とし"でしょう。
 ヘディングだけでなく、胸でのパスも得意で、うまく後方からのロングボールを近くの選手に繋ぐことができる選手だと思います。
 ただ、一方で自分で前を向ける選手ではない。
 足元の技術はあるのですけど、スピードなどがあるわけではないですから、マークに付かれるとなかなかそれを掻い潜れない。
 そのため、昨年ドワイト監督が指揮を執っていた頃のジェフは、後方からのロングボールをオーロイが落として、それを2列目の選手が拾うサッカーをしていました。


 しかし、シーズン途中から他チームもそれを研究してきて、オーロイにはマンマークをつけて高い位置でターゲットとしてのプレーをさせずに、周りのスペースをゾーンで消すことによって、2列目にボールを拾わせないディフェンスをしてきました。
 大事なのは前を向けないオーロイよりも、2列目の選手を自由にさせないこと。
 これが効いて、昨年のジェフは徐々に成績を落としていきました。
 怖いのはオーロイよりも、2列目の選手だったということになりますね。


 今期の木山監督になってサッカーも変わり、オーロイはレギュラーではなくなりました。
 昨年はCBだけでなく、角度をつけるためSBからも早めにオーロイにあてて、2列目の3人がゴール方向に向かって走りこんでいくサッカーでした。
 ピッチ全体でみるとボールの動きが三角形になることの多い、展開だったと思います。
 そのため、センタリングからの展開はそこまで多くのなかったのですが、今期はピッチを広く使っていましたので、クロスボールも増えていきました。


 しかし、オーロイに向けてのクロスも多かったのですけど、改めてやはりクロスに強い選手ではなかったですね。
 サイドの選手がえぐって外からボールが上がっても、スピードのないオーロイはそこに間に合わず、ゴール前に入って行けない。
 相手DFの前を取れることもほとんどないですし、かといって相手から消えてファーなどで待つような駆け引きができるような選手でもない…。
 ミリガンの鋭いロングスローからオーロイがヘディングで合わせてゴールという展開もありましたけど、あれはスローインだとオフサイドもなくゴール前のいい位置で待っていられるという点も大きかったんだと思います。


 だから、よく「オーロイに合わせたサッカーが見たかった」なんて言われますけど、それってサイドからのクロス展開ではなく、去年のドワイト監督のほうが正しい…ようは「パワープレーサッカー」なわけですが、それを本当に見たい人ってどれだけいるんですかね…。
 年齢やスタミナもあって、特に夏場からは90分間プレーできないという問題も大きく、なかなか主軸として考えるには難しい選手でもあったと思います。



 そんな中で今期、168分と総出場時間はかなり短いですけど、15試合も出場したというのはむしろ意外というか。
 しかし、それは長身FWとしてよりも、足元の技術で選択されたのだろうなと思います。


 木山監督がFWに求めるのは、まず足元でのポストプレー
 後方から縦にパスを出し、ポストで落として中盤に前を向かせる…というのが、ベースとなるビルドアップですから、FWにはポストプレーが不可欠となります。
 足元の技術のあるオーロイはその点である程度の評価を得て、これだけの試合数に出場できたと。
 ただし、藤田の動きに比べると、運動量やスピードの面でくさびのボールの引き出す動きの数も質も足りず、あくまでも2番手ということに。
 シーズン途中からは荒田も良いポストプレーを見せてくれましたし、その頃は3番手くらいの立ち位置で、シーズン終盤には結局パワープレーのターゲットとして使われることになった印象です。
 ただ、そのパワープレーもうまくいったとは言い難かったわけですが、それに関してはチームとしての詰めの甘さを感じたというか。
 もう少しパワープレーの練習もしておくべきだったのではないかなとも感じたのですが…。 



 その話の流れで活躍できなかったのが、ロボということになりますね。
 ロボは前を向いた時の迫力はありますが、ポストプレーに関しては参加する意欲も足りず、守備でも貢献できなかったこともあって、ジェフの戦術というか木山監督の求めるものにはフィットしませんでした。
 それでも12試合に出場し、総出場数では458分とオーロイ以上に長いですから(ちなみにスタメンに選ばれたのはロボ4試合、オーロイは1試合もなし)、木山監督も当初は得点力不足の解消に期待していたのでしょうが、シーズン終盤はベンチにすら入れないなど、予想以上に合わなかったのではないかと思います。
 木山監督はシーズン当初「得点力のある外国人FW」を求めているという報道がありましたけれども、実際のサッカーを見るとFWに求めるのは得点力だけとはいかず、シンプルにさばくポストプレーと守備は大前提といった印象で、それにプラスして得点力もある外国人となると、それはなかなか難しいんではないかなぁと改めて感じます。



 改めて振り返ると、やはり木山監督は外国人選手をうまく使いこなせない…というよりは、正確には木山監督の攻撃ではシンプルにパスをつなぎ、守備では全員でワーッと集まって守るサッカーには、なかなか外国人選手というのは合わなかった印象があります。
 レジナルドやミリガンの使い方を見ても、決して能力のない選手達という評価ではなく、戦力として見ていなかったわけではないのでしょうけど、実際に使ってみると「何かが違った」といった感じなのではないかなと思います。
 しかし、やはり外国人選手もそれなりに使えないと、チームとしての幅や伸び代には限界が出てしまうし、癖のなさすぎる「素直なチーム」というだけで終わってしまうのかなと。


 木山監督の続投・退任を考える中で、今期に関してはまずまずの評価だったとしても、来期ここからどれだけ伸びるのかという点がすごく大事になってくるはずですけど、その点で木山監督と外国人選手の関係をどう評価するのかというのは、すごく大事なはずですよね。
 もちろん木山監督の退任はすでに決まってしまっているわけですけど、それが妥当だったのかどうかの議論は今後もなされる可能性があるでしょうし。


 ともかく、2選手ともにお疲れ様でした。
 ロボとは短い付き合いになってしまいましたけど、オーロイに関しては性格も明るく良い人だったので、それで人気が出たのかなぁとも思いますね。