小林可夢偉、来季F1シート獲得ならず

 非常に残念なニュースをお伝えしなければなりません…。
 来季F1参戦に向けてチームと交渉していた小林可夢偉
 持参金を集めるためファンからの募金なども行っていたわけですが、先ほどその募金サイトで来期F1シートの獲得断念を発表いたしました。


 時を同じくして、可夢偉が交渉していたというロータスがロメイン・グロージャン残留を発表。
 今期のグロージャンは非常にミスが多く他ドライバーにも危険なドライビングをすると批判を受けていたこともありましたが、一方でスピードはあるということも評価されており、今後の成長に期待したいということなんでしょうか。
 もちろん10億円近いスポンサードだとか、チームの元々のルーツであるフランス出身ということなどの影響もあるのかもしれませんが。
 ただ、成長といっても2009年途中からも一時期F1に参戦しており、決して経験の少ないドライバーとはいいがたい気もするのですが。
 チーム代表エリック・ブーリエのお気に入りでもあり、外から見る以上にチーム内での後ろ盾はしっかりしていたのかもしれません。


 また、もう1つの交渉先と思われる、フォース・インディアもここ数日エイドリアン・スーティルの復帰が濃厚と言われていました。
 スーティルに関しては実力は十分といわれていましたが、2011年にお酒の席でロータスCEOに対して暴行事件を起こし、今期はシートを失っていました。
 裁判では執行猶予が付いたためF1開催地での入国などの問題も心配されましたが、昨日それに関しては問題がないことを本人が明言しておりましたので、そういった問題もクリアしたということになります。
 …しかし、フォース・インディア復帰ということになれば、暴行事件を起こしてたった1年で帰ってくることになりますが、それでいいんですかね。
 よくスポンサーなどもOKを出したなと思いますが。



 可夢偉に関しては800万ユーロを集めたと話していますが、当初から10億円が必要といわれており、これはグロージャンの持参金と同じ額ということになりますから、同額が集められればグロージャンに代わって参戦出来た…ということなのでしょうか。
 それだけ実力は評価されていたともいえるのかもしれません。


 この短期間で800万ユーロ集めたのですから大したものですが、できることならもっと早く動いてほしかったなと。
 本人が「ここ数ヶ月で10億円が必要になった」と話していましたので、当初は持参金なしでも参戦継続できると考えていたのでしょう。
 その背景にはチームメイトのセルジオ・ペレスに結果の面(実力の部分は置いておくとしても)で負けてしまったという部分があるはずで、ペレスに負けるはずはないと踏んでいたのでしょうか。
 しかし、今期でザウバーも3年目であり、チーム退団の可能性は十分にあったはずで、マネジメントも含めてちょっと悠長に構えすぎていたのではないかと思ってしまいます。
 世界的な不景気で他チームもドライバーに持参金を求めるチームは増えていたわけで、そのあたりの流れを読み切れていなかった印象もあります。
 なんだか「テスト直前にあわてて勉強をし始めた」ように、スポンサーを集め始めていたように見えましたしね。



 ホンダ、トヨタブリヂストンが撤退し、F1での日本唯一の希望の光であった小林可夢偉ですが、残念ながらその光も消えることとなります。
 それでも日本人ファン以外は困る人が少ないのかな?と思うところが、ますます残念に思ってしまうわけですが…。
 フジテレビも地上波での放送はないわけですし(CSのほうは契約者減るでしょうけど)、F1に参戦する日本企業も少ないわけですし。
 まぁ、逆に言えば、だからこそ希望の光も消えてしまうのでしょうが。


 可夢偉はF1以外の道は考えておらず、2014年のF1復帰を検討しているとのこと。
 一度、他のカテゴリーに出場すると忘れられてしまうという"F1村"ですから、他のレースに出場することはないと考えているのでしょうが、なかなか一度シートを失ったドライバーがF1に復帰するというのも簡単ではありません。
 来期の身の振り方が気になるところです…。