青木孝太、益山司、佐藤慎之介の退団決定

契約満了選手のお知らせ(ジェフ公式サイト)


 今年もこの時期がやってまいりました。
 今回は3人だけの発表ですから、今後ベテラン選手やレンタル選手の発表が別にあるのかなぁと思います。
 次期監督も決まっていないのでしょうから、戦力になりうる可能性がある選手の去就はまだ決められないということなのかなと。
 逆にこの3人は早い段階で、退団が決まっていたのかなとも思います。
 今回契約満了が発表されたのは、青木孝太益山司、佐藤慎之介の3人です


青木孝太
 孝太は2006年選手権で活躍した野洲高校から、鳴り物入りでジェフに入団。
 2007年にアマル監督の下でリーグ戦19試合3得点と結果を伸ばしますが、2008年は出場試合数も減らしノーゴール。
 09年には岡山にレンタルされます。
 ジェフが降格してからの2年間は20試合以上に出場していましたが、主力定着とはいかず。
 今期はユース代表時代の監督でもあった城福監督の甲府にレンタル移籍していたものの、ダヴィなどの存在もあって13試合の出場にとどまっていました。


 個人的には周りの期待とのギャップに、苦しんでいた選手というイメージがあります。
 FW登録ということもあって、攻撃面を期待されることの多い孝太でしたが、実際にはボールを持ってのドリブルだとか最後の精度に飛び抜けた部分があるわけではなく。
 むしろ基本的なショートパスだとか、守備のほうが計算できる選手だったんじゃないでしょうか。
 だから当時は起用法に批判も受けていましたけど、アマル監督が左ウイングバックで起用した時は機能していた印象です。
 無論その背景には多くの選手を日本代表に選出され、動ける選手がいなくなっていたという部分もあったとは思いますが。


 そもそも孝太などはイビチャ・オシム監督の号令で「速くて、技術もあって、サイズもある選手(しかも左利き)」を大量に集めて、その中で自分たちが育てるんだという意向の下、獲得した選手の1人だったと思います。
 要するにオールマイティな選手というか、ポリバレントな選手になれる素質のある選手であって、スペシャルな能力がある選手というか、オシム監督の言葉でいうと「エレガントな選手」というわけではなかったはずで。
 孝太にも山岸のような仕事を本来は求めていたんじゃないかと思うのですけど、果たしてクラブ全体としてどこまでそこを理解したうえで孝太を評価、判断することができていたのかなぁと。
 もちろん本人のメンタル的な問題もあってか、昨年の終盤は気持ちがかなり腐っていた印象がありますけれども、周りの期待と自分のできることの差に悩んでいたところもあったんじゃないかなぁとも思います。
 あと、「仕掛けろ」と言われ続けていたのは可哀想でしたね。
 本人はオフザボールで裏にどんどん飛び出して「仕掛けて」いたのに、ボールを持った時しか見てもらえない人に「仕掛けろ」といわれ続けていたのは…。
 ともかく孝太に関しては残念な思いが強いです。


益山司
 益山も非常にポテンシャルのある選手だと思います。
 体の強さもあってスピードもある選手なのですけど、ジェフはなかなか自前でそういった選手を育てきれないというところが伝統的にあるのかなぁと思ったりします(笑)
 2008年に入団し09年途中にはミラー監督がスーパーサブとして右ウイングで途中出場し流れを変える選手として定着しかけていたのですけど、監督交代となってその流れを失ってしまいます。
 そして、江尻監督になった初戦で右SBで起用されるわけですが、当時磐田の村井にやられてしまって、その後は出場機会を与えられずにその年を終了。
 翌年途中から大分にレンタルし、11試合出場。
 昨年はジェフに復帰していましたが、今期は松本山雅にレンタル移籍し1試合の出場となっていました。


 本来は後方の選手でありながらミラー監督は右ウイングで起用していましたし、江尻監督は右SBやCBでプレーさせていたり…と、練習を含めれば前目のポジション以外はほぼ全ポジションでプレーしていたのではないでしょうか。
 それ故になかなか集中できないというか、監督によって立場が大きく変わってしまう印象も受けました。
 やはり大分に残してあげればよかったのでは…と、個人的には思ってしまうのですが。


佐藤慎之介
 GKに関しては何とも言い難いところがありますが、高卒で千葉県市川市出身の選手が退団となってしまうのはちょっと残念ですね。
 若い選手ですし岡本のように年を重ねて徐々に伸びていくケースもありますから、もう少し見てあげてほしかったところもありますが、大久保の加入もあって難しい立場になってしまったということなんでしょうか。
 加入して3年ということで、最低限の期間は見たことになるのかもしれませんが…。




 佐藤に関してはともかく、孝太、益山に関しては、監督が頻繁に変わるなどチーム運営が安定しないことによる影響で、伸び悩んだ部分もあったように思います。
 もちろん加入した時点でプロ選手ですから、最終的には自分たちの能力次第ではあるわけですが、若い選手たちはまだ自分の強みというのを作りきれないこともあって、逆に言えばチーム側とってはその選手たちの色を自分たちによって染め付けられる部分がある…ようするに、余白があるわけで。
 上でも言ったように、オシム監督などはそれを狙っていたところがあると思いますし、オシム監督に限らず自前の選手を育てられる強みというのはそこにあるんだと思います。
 そして、そういった選手たちを自分たち色に染めて、成長させることができれば、それがクラブのベースになるということになるわけですね。


 今のジェフにはそういったところが足りておらず、結果に急ぐあまり、他の色に染まっている選手たちを寄せ集めての『補強』をしてばかり。
 そして、ダメらなその選手たちを放出して、また『補強』してをくりかえすため、いつまでたってもベースの部分が出来てこないということですね。
 はたしていつこの負のスパイラルから抜けられるのか…といった感じになっているように思います。



 ともかく、3選手お疲れ様でした。
 出来ることならサッカーを続けて、今度はライバルとしてフクアリのピッチで会えることを、期待したいですね。