ル・マンでアウディ表彰台を独占、トヨタはリタイア

 今年から始まったFIA世界耐久選手権の一環となって行われ、ハイブリットシステムの使用が決まるなど、大きな変化のみられたル・マン24時間耐久レースですが結果的には王者アウディが今年も優勝。
 表彰台を独占し、通算11勝となったそうです。


 日本関係ではトヨタル・マンに復帰。
 2台体制で臨みましたが、1台はスーパーアグリなどでF1に出走しイギリスF3でも佐藤琢磨でもチームメイトだったアンソニー・デビッドソンが大きくクラッシュし、脊髄を骨折し全治3か月という大けがを負ってしまいました。
 もう一台は上位争いをしている中で、中嶋一貴が走行中に他車と接触。
 その後、エンジントラブルでリタイアと前車完走できずに終わってしまいました。
 アウディに対抗できそうな唯一のチームだっただけに非常に残念です。


 その中嶋が接触したのが、なんとフォーミュラ・ニッポンで4度のチャンピオンに輝いている本山哲がステアリングを握っていた日産デルタウイング。
 デルタウイングはこの接触でリタイアとなってしまいました。
 本山は周回遅れで上位勢を先に行かせるために避けていたのですが、コーナーで本山がレコードライン外にいたところで、中嶋が前の車に仕掛けてアウトに膨らんだところではじき出された形となりました。
 中嶋はレース後本山などに謝罪に行ったそうですけど、本山やチームだけでなく上位争いをしていたトヨタとしても非常に残念なシーンだったと思います。


 なお、日産デルタウイングのデザインはこちらの記事などでチェックできます。
 バットマンに出てくるバッドモービルのようなデザインで今回は特別枠として出場。
 「日産デルタウイング」という名前で日産のロゴが大きく使われているので、一部で「日産が制作」と言われていましたけど実際には日産はエンジンの供給のみとなっています。
 このブログでも何年も前に取り上げたことがありますが、もともとは次期IRLのプロトタイプカーの一台でコンペに敗れて、日産が拾ったという形になります。


 まぁしかし、写真などでは写りが良かったですけど、思ったより走り姿はかっこよくなかったかなと(笑)
 加えて、相手がLMP1のマシンということで重量やサイズも大きく違いますが、トヨタと接触した際の感じが脆かったような…。
 今期から新規マシンを採用しているIRLですが、昨年レース中にダン・ウェルドンがクラッシュで亡くなり、マシンの安全性には敏感になっていたところですから、そういう意味でもデルタウイングでなくてよかったかなぁと。


 今年はトヨタ、日産、ホンダ系のHPDと日本メーカーの出走が多かったル・マンですけど、トヨタはドイツ系とも言われ日産も欧州日産が主体でHPDもアメリカンホンダと、なんとなくちょっと複雑な印象もありました。
 日本のメーカーと胸を張って言えるのは、こちらもル・マンに復帰した童夢くらいなんでしょうか。
 童夢も10位前後を走行していましたが、残念ながら集会回数が足りずにリタイア扱いとなってしまいましたが。


 まぁ、こんな時代ですから、純日本性的なものはなかなか期待できないのでしょうけどね。
 来年はより"日本のチーム"が上位に立てることを期待しております。