木山監督「相手の体力をロストさせるようなゲーム運び」

木山隆之監督「特に前半は我々だけではないがミスが多くて、ボールのつながりも良くなかった。そういう質を追求して、落ち着いて回せるところでは回して、相手の体力をロストさせるようなゲーム運びを、いま自分たちはやっている(J's GOAL

 自分たちがボールをつないで相手の体力を消耗させるという話は、木山監督が就任当初から話しているテーマですね。
 ただ、実際にはそういった試合展開になったことは少なく、むしろ相手にボールを持たせて疲れさせるような展開のほうが多いのかなぁとも感じます。


 よく木山監督のサッカーに関して江尻監督と比較して部席されることも多いと思うのですが、江尻監督はミドルサードの質を非常に重視していましたが、木山監督はアタッキングサードやディフェンシブサードを重視したサッカーになっているのかな?とも思わなくもないです。
 ただし、それは結果論であって、コメントを読む限りでは方向性はかなり近いような気がしますが。



 ただ、江尻監督は1つの理想を掲げてそれに囚われすぎて失敗した…というような評価も耳にすることがありますが、個人的にはそんな印象はあまりなく。
 確かに理想とするサッカーはあったのでしょうけど、実際にはその理想に進むためにはどうすればいいのかの手法を持ち合わせていないため、実際のピッチ上ではあれこれサッカーが変わってしまい、軸のないチームになってしまったと。
 その結果、主力選手も頻繁に変わり、1年目には主軸だった巻や中後などもいかせず、倉田も半年しか使いこなせなかった…と。


 一番わかりやすかったのが、江尻監督の解任が決まった直後の試合でハイプレスを仕掛けていったこと。
 結局江尻監督がやりたかったのは、ああいったサッカーだったんだろうなぁと思います。
 2010年前半もそういったサッカーをやろうとはしていたものの、45分しか持たずに苦しんだ結果、一度ハイプレスは諦めていました。
 けれども、解任が決まったところでもう一回自分のサッカーをやろうと思って臨んだのだけれど、やっぱり前半しか持たない無理のある試合内容でした。


 結局、最後までプレッシングサッカーを物には出来ず、そういったサッカーを諦めていた時期にも試行錯誤はするものの自分のサッカーは見つけきれずに終わったということになります。
 やはり経験のなさが露呈してしまった結果であり、本気で江尻監督を育てるつもりであれば、りザかどこかで監督に据えるべきではなかったかなと思います。



 その点で筑波大や水戸で監督経験のある木山監督は、押さえるところはしっかりと押さえている印象があります。
 理想はパスサッカーでも、実際にはそこまで華麗なパスワークからの崩しができているか?というとそういった印象はまだないですけど、大きいフレームでのやろうとしているサッカーに関しては、ブレのない印象を受けるのではないかなと思います。
 また、4×4で後ろに人数をかけて守ってみたり、深井をFWで使ってみたり…といった点はミドルエリアだけでなく、攻守におけるゴール前での強さの重要性を肌で把握している部分があるのかなぁとも感じる部分もあります。
 それも水戸であまり恵まれない戦力で、戦ってきたからこその結果ではあるのかなと思ったりもしますが。


 実際問題として、ここから先どれほどチームを伸ばせるのか?という問題はあるかもしれません。
 良いチームから、本当に強いチームに出来るかどうか…といったところですね。
 しかし、ようやくチーム作りも良い軌道に乗ってきたところだと思いますし、今はどこまで行けるのか楽しみのほうが強いですね。
 理想の部分をより高めていくのか、それとももっと現実的なサッカーをしていくのか。
 今後のチームの行方が気になるところです。