ジェフ、6連勝の原動力は

 6連勝は2007年以来。
 J1での結果とJ2の結果では価値が違うと思いますが、良い流れであることは間違いないですね。
 あの時は6連勝の後に気持ちが落ちてしまった印象もありましたが、今回はどうなのか。
 前向きな意味で、今後が楽しみですね。
■序盤は大分ペースも
 ジェフはトゥーロン国際に出場中の大岩に代わってミリガンを右SBで起用してきました。
 五輪本番に選出される可能性もある大岩ですけど、その際にもミリガンが第一候補になるのかな?と感じますね。
 この試合でも大岩のような積極的な上がりは見られませんでしたけど、守備は安定していましたし、鋭い楔のパスや精度の高いクロスなどは見せてくれました。
 まぁ、大岩の代わりをそのまま求めるのは無理があるでしょうし、ミリガンにはミリガンの良さを出してもらいたいですね。



 試合序盤は大分ペースだったと思います。
 ボランチからのビルドアップからサイドも狙いつつ、中央高い位置でのタメも作りつつ…。
 特に村井のタメが効果的で、そこで時間を作ったり、サイドチェンジを狙ったり。
 村井にワンタッチで裏を取られて、決定的なシーンも作られてしまいました。


 守備は前線からしっかり守っていく狙いでしたね。
 3-4-3で3トップが前から追いかけていき、ボランチの2人もそこについていって、ジェフのボランチを見る形。
 ジェフが高い位置にボールを持ち込めば、ダブルボランチが下がって2シャドーがジェフのボランチを見るような守備で、中盤のポジショニングが大事になってくるのかなと。



 それに対してジェフは、なかなか細かなパスワークからのビルドアップから攻撃が作れませんでしたね。
 後方からパスをつなごうという意図は感じるのですが、相手を揺さぶれず前にボールを持ち込めず。
 結果的に仕方なくロングボールを出す展開が多かったと思います。


 そんな中で可能性を感じた攻撃は、高い位置でボールを奪ってのカウンター。
 特に大分は3バックで序盤はボランチからの展開が多かったですから、ジェフとしてはそこを狙いやすかったのかなと感じました。
 大分はよい攻撃をしていましたけど、後方でのサイドチェンジの狙いは少なくて村井に頼るところが大きくプレスがかけやすく、カウンター時の上がりが遅い印象がありましたね。



 それでもチャンスの数はしっかりと攻撃を作れていた大分のほうで、村井を中心にチャンスを作っていました。
 しかし、良い攻撃は作れるものの、ゴールとはいかず、大分にとっては嫌な流れ、ジェフにとってはチャンスだなぁと感じていた前半16分。
 ジェフのCKから山口がフリーで合わせて先制します。
 大分としては攻撃でチャンスを作れていた良い流れだっただけに、ここはしっかりと集中しなければいけないところだったんですけどね…。
 相手からすると、もったいない。


 その後は大分の勢いも止まってしまい、ジェフも攻撃よりも守備に集中する感じだったかなと。
 4×4でしっかりと守り、高い位置でボールを奪う展開も徐々に減っていきました。
 その結果、試合はこう着状態になっていきます。
■足が止まってからの守備
 後半7分から森島に代わって高松が投入されます。
 森島も足元の技術を見せてくれたとは思いますが、高松が入ってより広範囲に動くことで、ジェフとしては若干守備がしにくくなっていったかなぁと思います。
 また、村井が気持ち下がりがちでプレーすることで、ボールの周りが良くなっていきましたね。


 ジェフは毎回言っているようにMFラインが下がりがちで、DFライン付近をしっかり守ってくる守備ですから、高い位置でタメを作るのが難しい。
 森島や村井が高い位置でタメを作ろうとする大分の攻撃とは、ジェフからすれば相性が良かったのかなとも思います。
 けれども、その分、中盤には空きができるわけですから、高松が動き回ったり村井が下がって受けたりというのは、効果的だったんじゃないかなと思います。


 特に大分の攻撃はジェフの左サイドを狙ってきていましたね。
 田坂監督は試合前から兵働を警戒していたようですし、しっかりとジェフを研究してきたんだろうなぁと思います。
 まぁ、それくらいのリサーチは当たり前かもしれないですし、今までがちょっと自由にやらせてもらえ過ぎたのかもしれませんが。



 しかし、後半からは両チームともに運動量が落ちてきました。
 ここで面白かったのは、運動量が落ちた後の守り方。
 ジェフのほうは4×4のラインが、全体に下がってゴール前を守る感じ。
 大分のほうは前にも人数がいて、裏がスカスカな感じで、この辺りはベースの守備が前に行きがちなのか、後ろに重心を置くのかではっきり出ているのかなぁとも思ったりしました。
 木山監督の最後はしっかり人数をかけてゴール前を守ろうというのは、水戸時代にもあった気がしますね。
 規模の小さなクラブで戦ってきたからこそ、そういう守り方なのかもしれません。


 それにしても大分のほうが守備の裏、特に大分から見て左サイドがスカスカな状況になってしまって。
 2点目もそこからでしたね。
 右サイドの田中が裏を取ったところから、クロスを上げて最後はフリーの藤田がゴール。
 相手の守備状況が良くない時間帯ではありましたが、田中のクロスは素晴らしかったですね。



 その後、大分もパワープレー気味に攻めてきて、危ないシーンも何度かありましたが、そのまま2-0でジェフの勝利となりました
■ゴール前での力強さ
 試合序盤は大分が良いサッカーをしてきて、久しぶりに”サッカー的に”面白い試合になるのかな?と思ったのですが、大分もちょっと爪は甘かったかもしれませんね。
 それとやはり気温の問題。
 後半から大分の方がばててしまった印象でしたが、それも気温の問題が大きかったのではないでしょうか。
 いろいろな事情があるのでしょうけど、大分は気温も高くなりがちなはずですし、この時期に13時キックオフというのはちょっと厳しいものがあったのではないかなぁと思ったりもしました。



 ただ、そんな中でアウェイでもしっかりスタミナ勝負でも勝てているというのは、まず立派ですよね。
 また、攻守にゴール前で集中力を切らさず、最後まで戦えているというのも大きいと思います。
 現在のジェフの6連勝の原動力というのは、そのあたりにあるんじゃないでしょうか。
 特にJ2のチームというのは、ゴール前での集中力に課題があるように感じますし、その分ジェフのゴール前での強さが目立っているように思います。


 実際、それまでのパスワークだとかプレスだとかは、90分通して見ると相手のほうが良かったように感じることも多いですしね。
 「パスサッカーを目指す」と言っていただけに、それでいいのか?実際に目指しているサッカーに近づいているのか?という点においては疑問もなくはないのですけど、チームの強さは感じつつあるように思います。
 その強さはどこか?と言うと、やはりゴール前での力強さになるのではないかなぁと思います。



 あとは、自分たちのサッカーをどう考えて、チーム育成を考えていくのか?なのかもしれませんね。
 現在はどちらかというと、結果的にカウンターのほうが点が期待できるサッカー(相手の隙や足が止まったところを付く…などの意味も含めて)になっている印象ですが、それがいいのかどうか。
 J1で戦うことを考えれば、逆にカウンターのほうがいいかもしれない。
 今期に関しては守備を固める相手を崩してJ2を戦っていかなければ、順位を上げていくのは難しいと思っていましたが、今期のJ2は率直に言ってレベルが低い印象もありますから、そこまで相手の崩すことに集中しなくてもいいのかもしれない。


 けれども、それ以上に重要なのは「自分たちのサッカー」だとも思いますしね。
 パスサッカーとは少し離れている印象もありますし、それをどう捉えるべきなのか。
 そんなことを考えられるくらいの余裕は出てきたんじゃないかなぁと思います。