若い両サイドバックからのアシストで5連勝

 力関係もあって、前半の20分過ぎで試合が決まってしまいましたね…(笑)
 大量得点の試合というのはあっても、序盤で試合が決まってしまうというのは、なかなか珍しいような。


 やっぱりJ2全体のレベルが下がっているところがあるのかなぁなんて思ったり。
 ジェフには関係ない…というか、見方によってはありがたい部分もあるのかもしれないですけど、Jリーグ全体のレベル、日本サッカー全体の状況を考えると、好ましいことではないのかなぁと。
 興行としてもどうなんでしょうね…。
■前半序盤だけで3-0
 今回の試合は前節町田戦と同じメンバー。
 ゴールデンウィーク連戦の頃から中盤から前のメンバーを試合ごとに入れ替えてきた木山監督でしたので、前節と同じメンバーというのは逆に新鮮な印象もありました。


 試合は序盤から両チーム、積極的に前へ圧力をかけていきます。
 球際でのプレーもかなり激しくなっていきましたね。
 熊本はサイド攻撃を中心にぐいぐいと攻め込んでいく狙いを感じ、かなり飛ばしている印象を受けました。


 ジェフのほうも相手の守備陣に少しでも隙があったら、ロングボールで裏を突く狙いがあったように思います。
 相手の守備が引いてしまう前に、どんどん前に攻めていこうという意図があったのかもしれませんね。
 熊本は積極的に攻めてくる分、裏のスペースも出来ていましたし。



 激しい展開が続く中、前半10分。
 左サイド狭いところから武田がクロスを上げて、藤田が足元に合わせてジェフが先制します。
 敵味方が密集する狭い局面だったので、コースはあまりなかったと思うのですが、武田から美しいクロスがどんぴしゃで入りましたね。
 熊本も人数が集まっていた分、誰が選手に行くのか責任が曖昧になってしまったところがあったと思うのですが、それでもあそこを通すのはさすがだったと思います。
 その後も何度かチャンスを作っていましたし、あれくらいのスペース(寄せの甘さ)があれば、十分持ち味を出せるということなんでしょうね。


 続いて前半19分。
 伊藤、藤田、深井とテンポよくパスをつないで、最後は伊藤がゴール。
 こちらもきれいなミドルシュートでした。
 しかし、そこまでの展開に熊本の守備は全くついていけていませんでしたね。
 伊藤、藤田、深井、伊藤とパスをつないだのは、相手のDFとMFの間。
 要するに、一番空けてはいけないバイタルエリアと言われるところで、あれだけ簡単にパスワークを許してしまっては…。


 その直後、中央後方からの兵働がボールを持って持ち上がると右サイドの大岩がどフリーになり、そのままクロスを上げて今度は田中がゴール。
 あっという間に3点が入ります。 
 熊本はジェフのボランチ付近への守備がザルで、ジェフが2,3本パスをつなぐだけで、ジェフのボランチやSHの兵働が、何もせずともフリーになっていました。
 3点目の起点となった兵働へも、2点目の藤田にくさびのパスを出した伊藤へもマークがきておらず、そこからの展開でのゴールということになります。


 その後はジェフのほうも若干勢いが落ち着きます。
 まぁ、無理に攻める必要はなかったですからね。
 熊本のほうも後方に人数をかけていくようになりました。
■ピリッとしない場面も
 ハーフタイムで熊本が修正できるか…というところが、後半の注目点だったのですが後半3分。
 中盤でボールを奪うと、深井が裏を走りこみ、最後は田中がゴール。
 熊本は攻め込んだ後とはいえ、人数は足りていたと思うのですが、深井へも田中へもマークが甘かったですね。


 その後も、ジェフが回す中盤でのパスワークに対して、人は集まってくるものの、激しく潰しには行けず、中途半端に集まっては他にスペースを作るような状況だったと思います。
 特にサイドの外を攻められると、ずるずると後ろに後退してしまうところがあったのかなぁと。



 しかし、その後は熊本の攻撃をつぶしきれず、ペナルティエリア前で前を向かせてしまってシュートを打たれたり、相手右サイドからのCKで中央の選手をどフリーにしてあわや…といった危険なシーンを作られてしまいます。
 疲れもあったのか、点差による油断もどこかにあったのか、主に守備面でピリッとしないところが目立ちました。
 岡本のファインセーブがなければ、失点してもおかしくない展開だったと思います。


 この後、選手交代をどうするのか、中盤の選手などを変えて守備を立て直すべきなのかな?とも思っていたのですが、木山監督の選択は違いましたね。
 後半16分に藤田に代えてオーロイ、後半29分に田中に代えてレジナルドを投入。
 立て続けに攻撃的な選手を入れ替えて、点を取りに行くという意志を選手を伝えたかったのかなと感じました。
 もう一点取りに行こうとすることで、チームの集中力を高めようというものだったのかもしれませんし、木山監督は以前も選手交代から点を取ろうという狙いを持ってやったこともありました。
 実際には点を取れなかったですけど、ぶれない意志というのは感じますね。


 最後は勇人も投入されて、4-0でジェフの逃げ切りということになりました。
■両SBからのチャンスメイク
 特に試合序盤は、熊本の守備は何がしたかったのかよくわからなかったですね…。
 マンマークでの寄せも甘いし、スペースも潰せていない。
 3点取られるまでは、前に出てきていましたが、パスの出ところが抑えられているわけでもなく、裏のリスクケアもできていない…。
 現在17位というのも、納得の試合内容でした。


 攻撃においては縦の鋭さを感じる部分もありましたし、悪くない時間帯もあったとは思うのですが、要所で守備に穴ができてしまうような状況では、なかなか上に行くのは難しいですね。
 もともと守備に定評があるはずの高木監督ですけど、それだけではだめだということで3バックに移行して攻撃も頑張っていこうということなんでしょうか?
 しかし、それによって元々のベースを潰してしまうという結果になってしまったのであれば、元も子もない状況ということになりますね。
 もちろん、他の熊本戦を熱心に見ているわけではなく、この試合だけを見て言っているので、これまでの経緯などはわかっていないわけですけど。
 ともかくちょっと、”サッカーとして”残念な試合だったかなと思います。
 Jリーグ入会初年度で、監督交代直後でもある町田なら許される部分があったとしても…。



 対するジェフも悪くはなかったと思います。
 スコアほどの強さを感じる試合ではなく、相手の酷さもしっかりと差し引いて評価すべきだとは思いますが、連勝における勢いは十分感じる試合だったのではないでしょうか。
 やはり兵働が中盤で前を向ける状況だと、良い試合になるのかなと思います。
 逆に言えば、熊本はそこはしっかり警戒しなければいけないところだったと思うのですが、あまりその印象はなかったかなぁと。


 特に収穫なのは、両SBからの得点が生まれたところ。
 左SB武田はスピードに課題があることもあって、試合によっては攻撃参加などの場面で「行くのか行かないのか」、迷いを感じることもあったと思うのですが、ここ数試合は思い切りよく前に出て行って仕掛ける意欲を感じます。
 守備に関しては相変わらずポジショニングなどで不安もありますけど、粘り強く対応しようという意図は感じますね。


 一方の右SB大岩は、これまで攻撃参加のタイミングは素晴らしいですが、ボールを受けた後のチャンスメイクはもう1つ…と感じていました。
 しかし、ここ数試合は大岩のボールからチャンスが生まれることも増えていますし、クロスボールの質も高まっているのように思います。
 その武田から先制点、大岩から3点目が生まれたというのは大きいんじゃないでしょうか。


 一時期はサイド攻撃ばかり…ということを言われていましたが、この試合では相手の守備もあって中盤の中でも前を向けるシーンが多かったと思います。
 3点目のように中で前を向けることで、サイドも空いてくることもありますし、逆にサイドを警戒されることによって中央が開くこともありますから、今後もどちらか一方ではなくどちらも質を高めていけるといいですね。