一歩一歩、ゆっくりいこう

 こんな早いタイミングで、しかもGW連戦の初戦で伝家の宝刀を抜くことになろうとは…(タイトル的な意味で)。
 もともとはこのブログのタイトル、別にHPを作った時にこちらのブログはマイペースにやっていこうという適当な意味でつけたんですけどね(笑)


 結果的にではありますが、チームを応援していくにおいてもゆっくり成長を期待するというのは大事なことだと思いますし(長期的なチーム運営のビジョンを持つという意味においても)、良いタイトルだったのかなぁと思います。
 まぁ、自分もよく成長を焦ってしまうので、それは良くないことなんですけどね…。


 とはいえ、大事なのは辛い状況の中でも今後につながるを見出せるのか。
 現行のチームに、ポテンシャルがどこまであるのか。
 今期のジェフは補強動向を見る限り早期に結果を求めるビジョンだったのかな?とも思いますし、そのあたりも含めて希望が見えるのかどうかですね。
■伊藤、レジナルド、藤田に代わりミリガン、大塚、荒田
 ここ2試合勝利から遠ざかり得点も挙げられていないジェフは、スタメンを入れ替えてきました。
 まず、ここ5試合スタメン出場した伊藤に代えて、ミリガンをボランチで起用。
 3月末の徳島戦でスタメン復帰しボランチで起用されていた伊藤。
 その徳島戦では中盤の低い位置からパスワークのポイントになっていましたが、ここ数試合はあまり動きが良くなかった印象です。
 前節、松本山雅戦では序盤から高めにポジションを取っていましたが、その分守備で戻りきれなかったシーンもあり、中途半端に終わってしまった印象もありました。
 まぁ、伊藤が活躍できない背景にはチーム全体が前掛かりになっていって、じっくりとしたパスワークが構築できない状況にあったというのもあるのかもしれませんが…。


 ミリガンは中盤で落ち着いてパスをつなげていましたし、ビルドアップでもかなり貢献していたと思います。
 フィジカル面や守備面、ロングスローでもプラス面を期待できるという部分も大きいですね。
 また、ミリガンが守備もできる分、佐藤健太郎も前目でプレーできるという効果も見られました。



 続いて、レジナルドに代えて大塚を起用。
 大塚をFWに置いて兵働が右サイドでプレーすることになりました。


 大塚はそこまで相手にとって致命的なプレーはなかったと思いますけど、高い位置でも落ち着いてプレーしていましたね。
 相手のプレッシャーがあっても慌てることなく、確実にドリブルや前へのパスなどを選択していました。
 若いのに落ち着いているなぁと感心していたのですけど、G大阪の選手出身ということを考えると不思議と納得できる部分がある気がします(笑)
 もっと積極的に言ってもいいのかもしれませんけど、そこはこれから…ということなんでしょうか。
 また、兵働を右サイドに起用して、プレッシャーの厳しくないところでやらせたかったというのもあるのかもしれませんね。


 そして、ここまで全試合スタメン出場だった藤田に代えて荒田を起用。
 特に開幕から数試合は藤田のポストプレーチェイスが効いていたわけですけど、ここ数試合は潰されることが多く運動量ももう1つで、疲れも感じるところがあったように思います。
 ポストプレーヤーである藤田ではなく裏への抜け出しがウリの荒田を起用したのは、ここ数試合ポストプレーがなくとも中盤では優位に立てるという状況にあったからなのかな…と思います。
 ここ数試合は相手の引きも早かったですし、富山戦でも中盤まで優位に立てていたと思いますしね。
 守備面でも差ほど前からのプレスは必要なくなっているのかな…と思います。
 荒田を起用したことで前線の積極性だけでなく、藤田不在となってビルドアップでロングボールを使えなくなり、結果的に落ち着いたパスワークを選択肢しざるを得ない状況にもつながったのかなと感じました。 
■点を取れず集中力を欠き…
 試合序盤から、荒田が積極的にシュートを狙っていくシーンが目立ちました。
 富山は前半、右サイドの守備が中途半端でしたね。


 ジェフが左サイドにボールを持った際に、相手SHが思いっきり中で絞る。
 左ウイングの深井がボールを持つと富山は右SBが対応してきたわけですが、右SHが中に絞っていますから大外を走っていく武田は当然のようにフリーになる。
 ここでジェフは完全に数的優位を作れ、富山の守備は遅れがちになり、後手を踏む展開となっていましたね。
 富山の選手が遅れて中から外に出ていって、今度は中が開いてしまう…なんてことも。
 この試合から4バックにしてきた富山。
 ジェフのサイドをケアしようという意図もあったのかもしれませんが、むしろ逆にそのサイドへの対応が甘くなっていたような印象でした。


 けれども、サイドの”ずれ”を使いつつジェフがボールを優位に運んでいき、荒田の積極的なシュートは増えていきましたが、遠目からのシュートが多かった印象で。
 シュート数こそ多かったものの、相手を崩してゴール前に侵入していくような決定的なシーンは少なかったですね。


 しかし、前半20分。
 兵働が中盤の外から中に入っていき前を向くと、裏を抜け出した荒田にスルーパスを出しもう少しでシュートまで行ける決定的なシーンを作り出します。
 このように後ろからのビルドアップから(ポストからの流れではなく)中盤の選手が前を向き、荒田に裏を突かせるというのがこの日の狙いだったのではないでしょうか。
 ただ、富山はこの攻撃の後あたりからDFラインが下がっていった印象で。
 裏を取るスペースがなくなっていってしまい、それまで見られた荒田による前線の動きも感じられなくなっていきました。



 後半から富山はサイドの守備を修正。
 武田の前をしっかりとケアして対応し、守備が安定していきました。
 依然ジェフの方がボールを持つ時間は長かったと思うのですが、前半に比べると富山が攻め込む時間も増え、あまりいい流れではないなぁと感じていました。


 しかし、富山の疲れも感じ始めてきた後半24分。
 右サイドからのCKを大岩が落として、最後はミリガンが足で合わせてゴール。
 待望の先制点をあげます。



 けれども、その10分後。
 ハーフウェーライン付近で相手がファールを奪うと、富山が素早くリスタートし、最後はソ・ヨンドクミドルシュートを決めて同点に…。
 このシーン、ファールを与えた瞬間に選手が抗議をして、一瞬集中力がかけてしまった気がしますね。
 神経質な講義はいかがなものか…と思っていましたけど、この大事な試合でついにやってしまったかぁと感じてしまいました。
 途中出場していた藤田の熱い気持ちは買いたいですけど、その矛先が審判に行くことが多いのはちょっと気になるところですね。


 また、この試合ではあまり守備の機会は多くなかったですけど、前半から守備でボールウォッチャーになりすぎて、後ろを走りこむ選手へのケアが疎かになるなど、ちょっとピリッとしない印象を受けていました。
 あまり攻め込まれないからこそ、集中が難しい試合ではあったのかもしれませんが、ともかく残念な失点でした。
 そのまま、試合は1-1で終了ということになってしまいます。
■将来においての希望
 シュート数で言うと、ジェフが22本で富山が7本と3倍ものシュート数を放ったことになります。
 しかし、上でも言いましたが、遠くからのミドルシュートなどが多く、決定的なチャンスというのはそこまでなかったように思います。
 ボールを保持していても崩しきれない、あるいは崩しきれずともなかなか点が取れないという課題は、メンバーを変えても変わらずだったということになります。



 ただし、この問題はそう簡単に解決しない、進歩の難しいところだということは想像できていたことではないかと思います
 ゆっくりとみていかなければいけない部分もあって(もちろんいつまでも停滞状態では困りますが)、この試合では荒田、大塚、ミリガン、ポジションの変わった兵働などは、それぞれ可能性は見せてくれたと思いますし、収穫がなかったわけではないと思います。


 サイドでの兵働は中央よりもスペースがあることで、前を向いてのプレーも何度か見せていました。
 荒田へのスルーパスも良かったですし、やはり前線(トップ下)よりはプレーしやすいのかなと思います。
 荒田は遠目からのシュートが多く確実性ではどうなのかな?とは思いましたけど、縦への抜け出しも含めて現在の停滞した攻撃面を活性化させる可能性を見せてくれたと思います。
 ただ、相手がスペースを消してきてからは苦労していましたし、そこがどうか…ですね。
 大塚はポテンシャルが高く、技術もあって前線でも使えそうというのが大きいですね。
 まだ周りとの息があっていないところがあって目立たない時間もありましたけど、ポジショニングも良かったですし今後への伸び代も感じるプレーだったと思います。
 ミリガンはこの試合、中盤からしっかりとゲームを作っていたと思いますし、ボランチとして良い活躍を見せていたと思います。
 伊藤のような素早い判断でのパス回しこそなかったですけど、多少強引でも自分で前にパスを出そうという意識は強く感じましたし、そういった姿勢も今は重要なのかもしれません。



 今回、出場した選手達の連携が高まっていけば、チームの幅も広がっていくはずで。
 後半途中から出場したレジナルドも前線に良いボールを出していましたし、徐々に周りの選手の動きや日本の選手への対応も良くなっているのかなと思います。


 荒田をFWで起用したということで、水戸時代のようにゴール前に関しては選手個々の動きに期待するようになっていくのかな?とも感じなくもないです(これまでのジェフでの試合からも、そのあたりは薄らと感じていたところ)。
 そうなってくると選手の質というのが非常に重要になってきて、今回新たにスタメン出場した選手達にかかるところは大きいのかもしれません。
 また、攻撃の最後の部分を個々の能力に期待して戦っていくのなら、個々のコンビネーションが大切になってくると思いますし、それこそ時間をかけて構築していかなければいけない部分というのもあるのかもしれません。
 将来においての希望がゼロになったというわけでもないですし、一歩一歩、少しずつ頑張って成長していってほしいと思います。