予選が面白くなってまいりました

 一昨日行われたロンドンオリンピック最終予選U-23日本代表対U-23シリア代表戦。
 残念な結果になってしまいました。
 スタメンはほぼ予想通りのメンバーですが、永井がスタメンに入ったのは少し意外でした。
 大迫のポストプレーで2列目を活かすという狙いと、永井をあえてスーパーサブにすることで後半勝負という思惑がこのチームにはあるのかなと思っていましたが。
 大津が招聘できず、左サイドに縦に速い選手を置けなかったところでの組み合わせという意味合いもあったのかもしれません。
 実際、山崎が負傷してしまってから、すぐに永井を左サイドにまわして、交代起用の大迫を1トップで起用しましたし(山崎は骨折とのことで、心配ですね…)。



 日本代表は序盤から守備が不安定。
 狙いとしてはシリアの前方の選手にボールが来たら、そのボールが入る瞬間にガツッと奪いに行く守備をやろうとしていたのかなと思います。
 オシム監督もやっていた狙いで、そこでボールを奪えればカウンターに持ち込みやすいし、奪えなくても前を向かせないようにチェックできれば相手のポイントを低く抑えられるという”攻撃的な守備”を目指すものだと思います。
 ただし、この狙いは簡単にできるものではなく、奪いにいった瞬間にマークを外されては簡単にマーカーの裏をとられてしまうし、マーカーが前に出ていく分ラインがデコボコになりやすいリスクもある。
 ですから、ボール奪取力と共に粘り強いマークと、行く行かないの判断力が問われる守備方法だと思います。
 この日のCB二人と山村あたりはそこで裏をとられることも多くカバーリングももう1つで、守備でバタバタしていた印象がありました。


 また、攻撃の方もロングボールが多く、こちらもバタバタした落ち着きのない展開でしたね。
 ピッチの状態が悪いにしても、工夫のないビルドアップが目立っていたと思います。
 しっかりとしたターゲットと中盤のサポートとフィードを蹴る選手の準備ができていれば、ロングボールもアリだとは思うのですけどそのようには見えず。
 実際、この試合の良い時間帯というのはパスがつなげていた時だったと思いますし、このチームのウリはテクニカルな2列目の選手達や思い切りのよい攻撃が出来るSBだと思うのですけど…。


 良い攻撃が作れたのは、セットプレーから先に失点した後の前半40分。
 山口が後方のビルドアップに絡んでDFラインからグラウンダーでボールをつなぎ、山村、山田、永井のパス交換から永井がクロスを上げて、山村が折り返して大迫がシュート。
 ゴールにはならなかったですけど、こういったリズムが理想ではないかと思います。
 結局ゴールに結びついたのは、前半46分ロングボールから大迫が粘って永井のスピードで決めた展開でしたけど…(笑)



 後半開始後も再び劣勢が続きましたが、相手の疲労が見え始めた後半30分に山村に変えて扇原を起用したあたりから、中盤で落ち着いてボールが出るようになって、良い流れになっていったと思います。
 しかし、良い流れではあるものの、攻撃の決め手には欠く状況で、厚みのある攻撃は見られませんでした。
 そして、後半45分に相手の素晴らしいミドルシュートが決まって敗戦…。
 まずは相手のシュートを褒めるべきだとは思いますけど、あの時間帯は日本側に疲れが出ており相手に攻め込まれて押し返せなかったことも問題で、権田もどうにか触ってくれれば…とどうしても思ってしまう部分があります。
 とはいえ、全体的なペースはシリアに奪われていましたし、1-2での敗戦は内容通りだったと思います。


 負けてしまいましたけど例え結果が出ていたとしても、五輪本戦でどこまでのプレーが出来るのかなぁと思いながら見ていました。
 シーズン開幕前でコンディションが整わなかったこと、清武、大津など主力選手が不在だったことなど、様々な問題はあったのでしょうけど、選手1人1人の判断力にも問題があり、チームとしての狙いもあまり良策のようには感じませんでした。
(ピッチに関してはあちらもイーブンなわけで、言い訳にはしづらいですね。やはり日本の選手は普段から恵まれすぎているんでしょうか…。)
 チーム発足時はもっとSBの攻撃参加や中盤のパスワークも効いていたと思うのですが、なんとなく時間が経つにつれ関塚監督の頃の川崎に近づいて来たような。
 昨年のジェフのようなサッカーとも言えるのかもしれませんが、それで世界相手にどこまでいけるのかどうか。
 チョン・テセジュニーニョがいるわけでもないし(山村は谷口枠なんでしょうか)、この日も永井のスピード頼りで淡白な攻撃になっていましたしね。
 まぁ、こういったサッカーになる可能性は十分あったとは思うのですが。
 これがこの試合だけならいい…と言いたいところですけど、この試合こそが大一番だったわけで。



 まぁ、裏を返せばこれで五輪予選も面白くなってきたとも言えるのかもしれません(笑)
 次のマレーシア戦で大量得点が奪えるかどうか。
 まずは、五輪本番ではなく予選の中で、このチームが変わっていけるかどうかに注目したいところではないかと思います。