J1昇格が難しい5つの理由

 先に宣言しておきますと、次回は「J1昇格を目指せる5つの理由」をアップしますよ!


 新体制発表会のコメントを改めて読むと、今期の目標は「J1昇格…そして、さらに上へ」といった感じなのかな?という印象を受けました。
 実際に、神戸さんは「2012年の目標というものはJ1の昇格であります」とはっきりとコメントしています。
 それが絶対のノルマではないのかもしれませんけど、目指していくところの1つであるのは事実なのでしょう。


 では、それを達成できるのかどうかという点に絞って(先日も話した通り、テーマの絞り込みは重要ですから)、今年のこれまでの補強やチームの現状を振り返ってみたいと思います。
 補強も残るところは、前目の外国人選手くらいだろうと思いますし。
 良い点も悪い点も考えていこうという意味で、まずは悪い方を。


■補強は穴埋め感も
 今オフは大型補強に成功したという印象もあるジェフ。
 しかし、あまり比較するのは良くないのかもしれませんが、強引に考えてみるとミリガン→山口智、村井→兵働、林→田中、茶野→大岩、太田→荒田、ゲッセル→佐藤健、大島→藤田、益山→武田、孝太→町田…となり、印象ほど戦力的な増加はないのかなぁと感じなくもありません。
 他の加入には井出、佐藤祥がいて2人期待したいですが、まずは体作りからなのかなぁと(町田君も発表会で見ると、思ったより細かったですが)。
 逆にこの他に退団した選手にはラム、藤田俊、福元、田鍋がいることになります。
 もちろん昨年以上の戦力を期待したいところではありますし、平均年齢は若干若くなったのかもしれませんが、放出した選手の中には昨年戦力だった選手もいたわけで、戦力面だけ考えると言われているほどの大きなプラスになっているかどうか。
 前の方は若干厚くなかったかもしれませんが、その分最終ラインは薄くなっている印象もありますし、例えばとしてFC東京ほどのこれでもかという補強ではないと思います。


■2年前の補強と同じ?
 2年前の補強との比較を考えると、上記をいじって荒田以降を倉田→荒田、佐藤勇→佐藤健戸島→藤田、鎌田→武田、伊藤→町田…という感じにすると、補強の方針が似ている印象を受けます。
 当時のオフも補強に関しては高く評価されることが多かったはずですが、残念ながら昇格失敗という結果になりました。
 右SB、身長の高いアンカー、エキストラキッカーあたりが不在というところも、2年前と同じですね(だからこそ、結果重視で行くのなら今後の外国人選手の補強が重要なのかなとも思います)。 
 逆説的に考えればこの2年間で2年前の補強が失敗に終わり、また今年から新たなサイクルを作り直す補強になったと捉えることも出来るのかもしれません。
 心配なのは結果が出ていないのに、強化方針があまり変わっていないような印象を受けるところではないでしょうか。
 今オフを見ていると結局今までのやり方を推し進めていくというか、あまりやり方を変えずにゴリ押しで行こうとしているのかな?とも感じなくもありませんので、それで押し通すことが出来るのかどうかの勝負ということになりますね。


■木山監督の実績
 育成の面を期待しての招聘ということであれば十二分に納得できた木山監督ですが、すぐさま結果を出すという面に関してはこれからの監督だと思います。
 プロでの監督業は水戸での3年だけで、清水での役回りは曖昧なところもあったようです。
 「バルセロナ+アーセナル」なんて話もされていますが、江尻さんもバルサ路線を目指して失敗していますし、似た印象を受けるところもなくはありません。
 水戸とジェフではクラブ規模も違いますし、個人的には実績のある選手を集めるのではなく、水戸の時のように若い選手を中心としてチームと一緒に監督も育っていく環境を作ることが木山監督を活かす上ではベストなのかなぁと思っていたのですが。
 もちろん実績だけで判断すべきではないのでしょうが、本気でJ1復帰を最重要目標として目指すのであれば、経験豊富な監督の人選を考えるべきなのではなかったかとも思います。
 江尻監督、ドワイト監督と実績の浅い監督で失敗しているわけですし、木山監督に結果も育成もチームのベース作りも期待する…というのは、木山監督に頑張ってもらいたいからこそ重荷にならないか心配な面があります。


■引いた相手から点が獲れるか
 水戸時代は攻撃的なチーム作りに成功した木山監督ですが、水戸とジェフでは状況が違うと思います。
 報告会ではフロントから「人とボールの動くサッカー」を目指すという話が聞かれましたが、水戸の頃のイメージは若干それとは異なる記憶があります(それも問題な気もしますが)。
 当時のスポナビにも書かれていたように、水戸では縦に速くボールを出して攻撃的なスタイルを築き上げた印象だったのではないでしょうか。
 そういったサッカーも間違いではないとは思いますが、相手に引かれるとどうしても「縦に速く」だけでは相手を崩せず、そこからどれだけ工夫を作れるかどうかが鍵になってくると思います。
 江尻監督も縦パスの意識付けは重要視していましたし(若い日本人指導者には多いですよね)、手法は違いますがドワイト監督も縦に速い攻撃でシーズン当初は成功していました。
 しかし、次第に相手に研究され後ろのスペースを潰されると、得点も奪えなくなり結果も出なくなっていきました。
 ジェフは今期も他チームからマークされる対象になるでしょうし、その状況で相手をこじ開ける形を作れるかが重要となってくると思います。


■監督就任1年目
 木山監督に関しては期待しているものの、就任1年目であることも考慮しなければいけないと思います。
 監督の考えをチームに植え付けるという意味でも、補強などの準備面においても監督交代1年目というのは難しい部分があるはずで。
 ましてや昨年当初の体制は大きくスタイルが異なるドワイト監督の下で準備を進めており、選手も大きく入れ替わっています。
 そのあたりのハンデを跳ねのけて、「勝てるチーム」を1年で作れるかどうかが、求められることになります。