3-1で勝利 真価を問われるのはこれから

 昨日行われた、ジェフ対岐阜戦は3-1でジェフの勝利。
 取りこぼしなく、無事終わったというような内容でしたね。
 このあたりで結果を残せなければ先には進めないでしょうから、そういう意味で良かったと思います。 
■相手の守備もありジェフペース
 ジェフは前節、オーストラリア代表で欠場していたミリガンがスタメンで復帰。
 右に太田、アンカーに伊藤というスタメンでした。


 試合序盤から、岐阜の守備が少し怪しげ。
 ジェフ後方からのロングボールに対して、オーロイに1人が付いて行っても、SBなどの絞り込みによって、ゾーンに穴を作らず相手にスペースを与えない守備をしようという意図は見えました。
 しかし、後方に人数をかけても等間隔に守れずポジションがばらばらで、なかなか上手くスペースを消せていない様子。
 相手を警戒し過ぎているのか、特にオーロイ付近に対して中途半端に人がより過ぎる傾向にある上、1人1人の守備に粘りが無く、2列目が縦に走ると簡単に裏を取れてしまう状況になっていました。
 ジェフのチェイスに対して、おろおろしてクリアが中途半端になるケースも多かったですね。



 対するジェフは、シンプルなサッカーをしていた印象です。
 相手DFの高さの問題もあり(その分CBにパス出しの部分も要求しているのかもしれませんが)、久々にオーロイのところでポイントを作れる展開になったので、ロングボール、足元も含めて、オーロイにボールを集めていきます。
 そして、そこから2列目が前に出ていく…と。
 今までには見られなかった太田がサイドラインを駆け上がるシーンがあったのも、相手が中央に集まる傾向にあったからではないかと思うのですが、それでもこれをきっかけに今後の武器になればいいですね。


 ジェフが押している展開だったものの、なかなか最後のところでの質がもう1つで試合が動かなかったのですが、前半28分に米倉がミドルシュートで先制。
 米倉がサイドで左チェイスにいってスローインになった後、同サイドの相手ボランチのところへ守備に行ったのはなんと太田。
 右ウイングの太田と左ウイングの深井が相手ボランチにプレスに行くと、相手の対応が遅くそこでボールを奪い、オーロイが落として米倉が拾ってゴールを決めた展開でした。
 ジェフにとってはプレスで高い位置からボールを奪えたのも、そこからのハーフカウンターが決まったのも、本当に久々(得点は初めて?)ではないでしょうか。


 しかし、それ以上に岐阜のプレスへの対応の悪さが、目立ったシーンだったと思います。
 岐阜はショートパスを縦へ縦へと狙う意識が強く、特にパススピードの速い、鋭いパスからの打開を狙うサッカーをしていると思うのですが、一方で状況判断が悪い場面があり、選手の体勢が悪い時でも前を向こうとして失敗してしまうことも多かったと思います。



 前半33分には、逆にその鋭いパスから良い展開が生まれます。
 岐阜のDFラインから、米倉の後ろジェフDF前の”ラインとラインの間”に鋭い縦パスが入ると、そこからDFラインの裏を狙った鋭いスルーパスが入ります。
 ジェフはこの攻撃をしのぎますが、その後のCKで失点。
 オーロイの前に入られて、ヘディングで決められてしまいます。
 このあたりのセットプレーの守備は、やはりまだ改善の余地がありそうですね。
■グイグイと行って2点目
 1-1の同点になってからは多少相手も落ち着いたものの、後半も基本的にはジェフペースだったと思います。
 中盤で簡単に前を向ける・スピードで相手の裏を取れるケースが多く、ジェフの攻撃が先手を取れるケースが多かったと思います。


 しかし、なかなかそこから先での攻撃の変化、工夫は感じられず…。
 流れを変えたいジェフは、後半12分には太田に変えて、今季初出場の林を起用。


 これでやることはっきりしたなと感じました(笑)
 基本ジェフ達は一対一で相手に勝ててしまう上、岐阜は数的優位を活かす守備が出来ていない。
 けれども、ジェフの選手はそれがわかったことで、グイグイとドリブルでばかり攻めてしまう。
 直線的な動きばかりで、緩急の急ばかりになってしまう…。
 そのあたりが問題なんじゃないかと私は思っていたのですが、林を使ってもっとその形を追求しようと。
 コンビネーションで崩すよりも、ともかく個人技で相手を上回ろうということですね。


 そして、後半14分。
 深井が中央で受けて、軽く相手をいなして、ミドルシュートを決め、それを見事に達成してしまいます(笑)
 続く後半19分にはCKからミリガンがゴール。
 またもオーロイの後ろに入ってきてのゴールでしたね。



 この2点で試合は決まってしまいましたね。
 上手くプレスが効かず裏をとられる危ないシーンもありましたが、基本的に力関係のはっきりした試合だっただけに、ジェフの攻撃の勢いもここで落ち着いて行った印象です。
 そのまま3-1で終了となりました。
■より先を見据えて
 全体的に見ると、かなり大味な試合だったんじゃないかと思います。
 首位と最下位の対決ということで、ある程度そういった展開になるのは試合前から予想していましたが、岐阜の守備はちょっと雑すぎだったかなと。
 中央からの鋭いパスからの攻撃は個人的にはすごく魅力的な部分だと思うので、それを活かすためにも後方の守備の安定が必要なのかなぁと感じました。


 ジェフはコンディション良く動けたのは良かったと思いますし(気温が低めだったのも良かったのかもしれませんが)、セットプレーではなくミドルシュートで2ゴール奪えたのも収穫ではあるのかなと思います。
 左サイドの守備も、相手SBをしっかりと深井が見ることが多かったですね。
 流れの中でたまに「いなくなる」のは相変わらずですけど(例えば深井が中央のボールサイドによって、サイドのスペースを空けてしまい、そこに展開されてしまい、そこから攻められる)、それでも今までは相手SBへの守備もジェフのSBだけで見ることも多かったので、いつもよりは落ち着いて見ていられたように思います。
 もちろん基本的にはゾーンで守るわけですからそのエリアに入ってくれば、SBが守らなければいけないわけですが、その前はウイングが見なければいけないわけですし、状況によってはサイドで連携して守らなければいけないわけで。
 深井の単独でのチェイシングは効くこともありますけど、逆に穴を作ることも多かったですからね。
 J2なら現状でもいいのでしょうけど、J1でもそれを続けると、逆に危ないと思うのですけど…(笑)
 もしかしたら、深井に関しては相手SBにマンマーク気味で守らせた方がいいのかもしれませんね。


 ただ、深井に関わらず、中盤のプレスの安定は全体的にもう少し改善したいところではないでしょうか。
 最近は中盤をかいくぐられて裏にパスを出されるシーンというパターンが目立っていますし、もう一度守備の改善を目指してほしいところではないかと。
 最近失点が多いのは、決して最終ラインだけの問題ではないと思いますし。



 ジェフにとってはこれで連敗を逃れることができましたが、ホームアドバンテージも大きかったと思いますし、真価を問われるのはこれからでしょうね。
 単独のドリブルやスピードだけでここまで相手を混乱させられる試合というのはそこまでないでしょうし、下位チーム相手にはそれでもいいのでしょうが、それ以外の相手に対してはそこまで参考にはできない試合だったような気もします。
 これはJ2からJ1に移る時にも言えるかもしれません。
 J2では個人技で勝てるところもJ1では難しいでしょうし、チームとして戦えるサッカーを作れるかどうか。
 こういった試合で気持ちが緩まないようにするためにも、より先を見据えて行かなければいけないんじゃないかなと思います。