窮屈なスペースの中での3トップのプレー

 ペルー代表戦に続き、昨日行われた日本代表対チェコ代表戦。
 やはりベストメンバーがそろってコンディションも戻ってきたことで、動きの基礎的な部分はだいぶ改善されていた印象がありますね。
 この試合も3-4-3で基本的な約束事は変わっていなかったと思いますが、攻守においてのサイドのポジショニング等を見ても大きな迷いはなくプレーしていた印象があります。
 また、2シャドーの位置でスタメンとなった本田が、相手のMFラインとDFラインに入ってボールに触ることで、前線の3人とボランチの間をつなげる役割が出来ましたね。


 特に長友のサイドは人数をかけて前線の選手などが多く絡んで、パスワークから長友を押し出す形が1つの狙いだったのかなと。
 そこに到るまでの展開も本田やボランチが絡んで右から左へと、大きな動きを作れていた印象です。


 ただ、攻撃の最後の部分はもう少しだったのかなぁと。
 前田の怪我でスタメンで起用された李にくさびのパスが入る形は何度かでき、李も頑張って動き回って受ける動きをしていたと思うのですが、なかなかそこから3つ4つとはパスがつながない…。
 ここはチェコの守備も堅かったですね。
 DFラインとMFラインが細かくポジション調整をして高いラインを維持する上に、1人1人のサイズや粘り強さもある。
 ベストメンバーではなかったようで、その分攻撃はもう1つだったのかなとも思うのですが、良いチームだったと思います。
 GKチェフも何度か世界レベルのプレーを見せてくれましたし、チェコが良い守備を見せてくれたことによって締まりのある試合になったんじゃないでしょうか。



 日本はラストパスは出せる、高い位置でくさびのパスも落とせて受けられる…。
 けれど、最後の部分での粘りや、狭い位置のパス・コンビネーションがもう1つ足りなかった印象でした。
 攻撃において、もう少し迫力がほしかったところですね。


 そのあたりの攻撃面を改善できる策の1つとして、3バックなんでしょうか?
 確かに3トップが前にいて長友、内田もそこに絡めれば、サイド攻撃も活性化でき、攻撃に人数もかけられるのかもしれません。


 ただ、この2試合を見ていると、3-4-3にして前の三人が中央高い位置にいることで、逆に窮屈になってしまったような気もします。
 シャドーの2人がサイドの選手のオーバーラップするコースを空けておこうと中でプレーする分、真中が窮屈になると。
 その分、中央のスペースが狭くなって、相手選手も集中し、攻撃も難しくなっていたかなと。


 その狭いエリアでもパスを繋いだり、ドリブル突破を狙えたり、オトリになる動きでスペースを作れたり…ということが出来ていければいいのでしょうけど、少なくとも今はそこまでの前線の動きはできていないということなのかもしれませんね。
 このあたりは相対的な問題でもあるでしょうし、今後、連携も含めて高めて行きたいところなのかもしれませんから、すぐに結論は出せないのかもしれませんけれども。


 ただ、この試合はそこまでピンチらしいピンチは作れませんでしたが、やはりオートマティックに4バックで守るよりも”可変3バック”で守る方が、リスクは大きいと思いますから、それを上回れる「何か」出来るかどうかが重要ですよね(まぁ、中央前方に人数がかけられている分、相手ボランチ付近でボールを奪う回数は増えていた気もしますが)。
 攻撃のクオリティに関しては、ベストメンバーがそろえば今までとそこまで変わらないところまで出来るというのはわかったと思いますが、それ以上のメリットが今後作れるのかどうか。
 今後、W杯予選でアジア勢相手と対戦することになれば、攻撃面の向上がより重要になってくるかもしれませんから、そのあたりが気になるところではないでしょうか。