『オシムイズム』より『オシム越え』

 こちらに『さらばオシムイズム。J2首位の千葉が選んだ“現実路線”』という記事が出ていますね。
 個人的な主観では数多くいるサッカーライターの中でも面白い記事が書ける人というのは一握りだと思っていますし、さらにジェフの記事が書ける人なんてほんの数人だと思っているので、はなから期待はしていません(笑)
 だから、最近はテキストとしての内容の面白さよりも、選手や関係者のコメントや言動を書かれた記事(あるいはそれらを複数あわせて作られた記事)の方が注目されることが多いのかなぁなんてことも思うのですが。
 そういった姿勢なのでこういった記事が出ても驚かないですし、残念だなぁとは思いますけど苛立ちなどはあまり感じません。
 いつもならこういった記事は内容すら見ずにスルーしてしまうのですけど、逆に盛り上がっているようなので今回は取り上げてみました。
 まぁ、こういった方達は、もしかしたらあえてそこを狙っているんじゃないの?とすらも思っているのですが…(笑)



 今さら言うまでのことでもないですが、『オシムイズム』の大部分は何年も前から終わっていることだと思います。
 一昨年就任した江尻監督も当初は『オシムイズム』の一部を継承するようなことを匂わせていましたが、実際には『オシムイズム』ではなく『バルサイズム』に近いものを目指していきました。
 昨年途中「アタッキングサードで特別な練習をしない」というコメントをしたところで、少なくと『オシムイズム』とははっかり違うのだろうな…と思いました。
 実際の試合内容も見ても薄々は気づいていましたが、目指していて出来ていないのではなく、そこを目指してもいないという意味で「はっきりした」かなと。
 オシム監督と言えば、自分達の動きで相手を崩すこと、相手DFを混乱させるプレーをすること、得点を奪うためにリスクを負っても前線に人数をかけること、組織的(オシム監督は「オートマティズム」なんていっていたと思いますが)に動いて点を奪うこと…などを重要視していたわけで。
 ようするに、「得点を奪う」ことを目標としたサッカーだったと思うのですが、その考えは江尻監督のサッカーからは見られなかったということになります。
 もちろん「だからダメだった」とかいう話ではなく、『オシムイズム』ではなかったというだけの話ですけど。


 やはり『オシムイズム』継続の可能性は、アマル監督が解任された時点で終わっていたのでしょう。
 07年末の話ですから、かなり前のことになりますね。
 最近、某チームのサポーターからの監督に対しての評価について、「最初から不信任なんだろうな」と分析されている人がいましたけど(…という意味であっていると思うのですが)、アマル監督の時もそうでしたよね。
 どちらのチームも人気のある監督が1つ前にいたからこそ、次の監督には初めからどこか疑いの目で見られてしまうと。
 どこのチームのこととは言わないですけどね(笑)
 でも、今のそのチームより当時のジェフの方が酷い雰囲気だったと思いますし(オシム監督の後で『オシムイズム』を継続しようということもあって?)、「最初から不信任」ならいい結果が出せるわけもないわけで。
 ようするに、『オシムイズム』との決別は、自らの手で5年近くも前に行っていたということになるわけです。
 そう考えると、ますますこの記事はどうでもいいということになりますね(笑)



 その後の流れからのJ2降格もそうですが、その中で得たものもありましたが、失うもの非常に多かったはずで。
 あれ以降、本当に長く暗いトンネルから脱出できない状況が続いてしまいました。
 だから、私にはその件に関して今でも肯定することはできないわけですけど(オシム監督が「戦争で得たものはあるか?」と聞かれて「あると言ったら戦争を肯定することになる」と答えたこともありましたが)、それでも長い月日を経て、ようやく今期小さな一歩目が踏み出せているのかなと思います。


 この一歩を無駄にせず、『オシム越え』を目指すことが、今後のジェフの目標になるんじゃないかと思います。
 そうなれば、こんな記事を書かれることもなくなるはずだと思いますし(笑)
 もちろん簡単なことではないですけど、この間の大きな穴を埋めるためにも目標を高く持ってそれに向けた準備をしっかりとしていきたいところですね。