これが『勝者のメンタリティ』?

 昨日行われたジェフ対岡山戦。
 後半から一方的にジェフが攻め込んでいた状況だったものの、なかなか打開策が見つからず、試合は後半ロスタイムへ。


 今度こそついに引き分けか…と思ったのですが、選手達は最後まで戦い抜いてくれましたね。
 精神的な面において、立派な勝利だったんじゃないでしょうか。
オーロイを外されてセットプレーから失点
 スタメンは前節と同じ。
 1トップにオーロイを置いて、右に太田、左に深井、トップ下に米倉で、後方はいつもと同じメンバー。
 怪我人さえなければ、スタメンも固定化されてきましたね。
 後は青木孝太が復帰してどうか…といったところなんでしょうか。


 試合序盤、ジェフはサイドを中心に攻め立てます。
 相手が3バックであるということもあって、その弱点を突こうという狙いだったのかなと思います。



 しかし、先制点は岡山でした。
 岡山から見てペナルティエリア左側で受けたファールから、ストヤノフがFKを蹴って、192cmのFWチアゴがヘディングでゴール。


 ジェフからすると、ゾーンディフェンスの選手と選手の間を付かれてやられてしまったパターンですね。
 ジェフはオーロイの存在もあって、今期からセットプレー時はゾーンで守っています。
 キッカーから見て手前あるいは中央にオーロイを置くことで、そこで跳ね返そうという考えなのでしょうが、今回はそこを超えられて、ゾーンの隙間にボールを入れられてしまいました。


 身長だけを考えれば、相手の長身FWチアゴにはオーロイを付けたいはず。
 しかし、単純にマンマークオーロイを相手の長身選手に付けると、スピード面などで不安があるということなんでしょうか。
 ただ、ゾーンで守るとなると、今回のように穴が出来てしまうし、他の選手にも身長がほしくなるところ…。
 守備時の高さが期待できる選手というとオーロイ以外では、ミリガン、竹内くらいなので(それも圧倒的な高さではない)、ここは悩みどころな気がしますね。
 今後、対戦相手は今回のように、オーロイのところを外す蹴り方、選手の入り方をしてくるでしょうし。
 


 その後、試合のペースは岡山だったかなと思います。
 岡山は最終ラインからボールを丁寧に繋ぐサッカーをしていきます。
 それに対して、ジェフはボールを奪いに行かないのか、奪えないのか…と言った展開でした。


 岡山がサイドでボールを持っても、選手が近づきはするものの、そこからボールを奪うまでにはいたらない。
 その分、後方に選手が控えているため大きな問題はなかったものの(ただ、それは1点を先制している岡山がリスクを負う必要性がなかったからとも考えられる)、裏を狙うパスに対して最終ラインが凸凹になって危険な場面を作られることもあり、守備の課題も見受けられた気がします。
 こういった裏をとられる場面や、ここまでボールを繋がれる展開というのは今季これまでになかったと思いますし、新しい発見ではなかったかと思います。


 やはりしっかりとプレスに行くところは行かなければ、裏をとられてしまう可能性も出てくる…。
 DFラインを下げないためにも、このあたりは改善点の1つではないでしょうか。
 もちろん90分奪いに行くのは無理にしても、ある程度の位置からは簡単に前を向かせない守備というのが理想ではないかと思います。



 前半30分には岡山の右サイドでサイドの選手、ボランチ、トップ下がパスをつなぎ、ジェフは坂本と伊藤しか応対せず、簡単にクロスをあげられてしまうなんてシーンも。
 これが岡山の狙いで、逆にジェフの課題の1つですよね。
 このシーンの1つ前で深井は中央で選手にチェイスをかけていきましたけど、それがチーム全体としてどう判断されるべきなのか。
 その後も高めの位置に残って、守備に戻る意思も見せませんでしたし(今回は「守備に遅れた」というだけではない)、監督がどう考えているのかちょっと気になるところです。
■岡山に退場者が出て一方的な展開も…
 前半35分、ジェフが左CKからの流れで、太田がシュート。
 この決定機を倒れ込んでいたストヤノフが、手でかきだしてPKと一発退場。
 これを深井が決めて、1-1の同点としてます。


 その後は4-4-1のような布陣で守る岡山と、攻めるジェフといった展開に。
 後半からは岡山のプレスも弱くなり印象で、ジェフのボール支配率が高まります。
 中盤の守備も緩く、簡単にジェフの選手が中盤で前を向けてしまう状況になっていきます。



 ジェフの方は前半、相手のフォーメーションもあってかサイドの裏を狙うパターンが多かったのですが、後半からは中央にも選手が増えてオーロイへのサポートが増えたいった印象でした。
 そして、ウイングが中央に入ったスペースには、SBが上がっていくと。
 やはりこのあたりは相手の人数が減った影響も、大きかったのではないかと思います。



 後半から一方的に攻めるジェフですが、なかなか得点を奪うまでには至らず。
 深井のスピード、太田の飛び出し、米倉の仕掛け…と「もう少し」といったところまではいっても、決定機は作れない時間帯が続きます。
 そして、徐々にジェフの選手達も運動量が落ちていきます。


 そのままずるずると、時間だけが経過。
 そして、後半ロスタイムに入ってしまい、これまでか…と思ったところで、CKから竹内が決めてくれました。
 オーロイが中央にいたところの、後ろから竹内が相手選手をなぎ倒す形で、競り勝ってゴール。


 前半の失点シーンでもオーロイを超えたところを決められた形ですから、逆の展開でやり返したことになりますね。
 これが決まって、2-1でジェフの逆転勝利となりました。
■内容の悪さを上回る精神的な強さ
 いやー、強いですね、ジェフ(笑)
 やっぱり今期のジェフは粘り強いというか、どこかに精神的な強さを感じます。
 

 戦術的にやっていることがはっきりしているから伸び伸びとやれるのかもしれませんけど(とはいえ、以前ほどはっきりした攻撃の仕方ではなくなっている印象もありますが)、それにしてもあの状況でも焦りを感じず最後まで戦い切るというのは、素晴らしいメンタルだと思います。
 これが『勝者のメンタリティ』というものなんでしょうか?
 試合内容は良くなかったですし今回こそは勝点をとりこぼしてしまう流れかな?と思っていたのですが、それを上回るだけの精神的な強さを感じます。



 ストヤノフの退場は試合に勝つという意味においてはジェフにとってありがたい展開といえたと思うのですが、良い試合だっただけに残念でもありました。
 パスを丁寧に繋いでいって、サイドで数的優位を作る。
 あるいは後方で繋いでいって、そこからDFラインの裏を狙う…というサッカーは、サイドの守備と前からのプレスに課題があるジェフにとっては、良い勉強相手でもあったはずです。
 単純に「良い試合を見たかった」という意味ではなく、そういった相手としっかりと戦って、課題を見つけ、克服していくことがチーム作りにおいて重要なはずですから、そういった点でもう少しあの流れで試合を見たかった気もします。
 


 ただ、一方で後半は相手が引いた守備をしてきたので、それはそれで勉強になったのかもしれません。
 これまでもジェフが押し込む展開はありましたが、あそこまで割り切って守るようなチームはいなかったはずで(鳥取戦は感それに近い印象もありましたが)。
 1人少ないからこそ割り切れたのだとも思うのですが、それによってまた課題も見られたんじゃないでしょうか。


 今までは「オーロイに高い位置で起点を作らせない」という狙いがあったチームが多かったですが、それをやるためにDFラインを上げるとラインの裏が空いてしまい、そこを深井や米倉が狙える…なんて試合展開もありました。
 それが決定機を作ることに繋がっていたわけですが、後半の岡山はラインもかなり下げていたため、その分中盤ではジェフに主導権をとられてしまいますが(それにしても緩すぎる印象もありましたが、1人少ないこともありましたし)、決定機は作らせないサッカーをしていました。
 ジェフからすると、昨年の試合展開を思い出すような状況ですね。
 相手の出方にもよるわけですけど、こういった状況でどう打開するのか…というのは、課題の1つでもあるのかもしれません。



 もちろんその中で最終的には勝利を収めたわけで、セットプレーが1つの武器として使えていることを証明したことにもなるのでしょうが、相手は1人少ない状況で45分以上戦っていたことも忘れてはいけないはずで。
 前後半、相手が違う戦い方をしたなかで、それぞれに課題が見つかったということは収穫が多くて良かったとも言えると思いますが、まだまだ修正点が残されているのかなとも感じた試合でもありました。
 最後まで焦らず諦めずに戦う『勝者のメンタリティ』で勝点を稼いでいるうちに、内容の方も向上させていきたいですね。