オーロイあてとサイド攻撃と使い分け
米倉恒貴選手「(得点シーン)最後のところになれば、相手の集中力も切れるところが出てくると思っていたので、ちょっとボーっとした感じを出しながら行ったんですけど、そこでフリーになれて、ドンピシャでボールが来たのでよかったです。」(J's GOAL)
もともと、うまい、強い、走れる選手だった上に、地元出身でジェフを愛してくれていてしかもイケメンと、3拍子どころか4拍子も5拍子も揃った選手でした。
加えて今回のコメントを読んでも試合を読む賢さなんかも持ち合わせている印象で、そこも個人的には好きなところです。
多くのサポ・ファンに期待されていた米倉ですが、一方でゴール前ではちょっと焦ってしまうところもあるように感じていて、『持っていない選手』なのかなぁという不安も自分の中ではなくはなかったです。
もちろん『持っていて』ほしい、そのあたりを少しずつ改善していってほしいとは思っていましたが。
しかし、今期はレギュラーどころか主軸の1人として起用されていることもあって、開幕からここまでで既に3ゴール。
鳥取戦では重要な場面でゴールを決めてくれましたし、意外と『持っているものがある』選手なのかもしれませんね。
あまり『持っている』というニュアンスが嫌いな方には、『試合を決める力がある選手』という言い方でもいいのかもしれませんが。
ただ、あまりそういった力を持ち過ぎている選手がいると、ジェフというクラブ(サポも含めて)はその選手ばかりに期待を寄せてしまう傾向がある気がするので、米倉くらいの『持ち方』の方がバランスはいいのかもしれませんね。
もしかしたら、深井もそうなのかもしれませんが。
それよりも、今の米倉はそれ以外の部分の改善を、そろそろ要求される立場にいるのかもしれません。
開幕前後の米倉は多少強引でも果敢に攻め込んでいくことが評価されていた部分があるのかもしれませんが、最近はマークも厳しくなったこともあってか、中盤で囲まれてしまうシーンも増えている印象です。
そのあたりの状況判断を学びながら、ゴールにも飛び込んでいってほしいところではないでしょうか。
もともとそこまで切れの良いドリブルがあるタイプの選手ではないだけに、状況判断の質とスピードが求められるのではないかと思います。
ここからは、また話題が変わりますが。
「今日はトーレ(オーロイ)に入るボールがディフェンスからのロングボールばかりだったので、サイドハーフからグラウンダーのボールが入ったりすれば、僕も良い形でボールを受けられたりすると思うので、そういう形をもっと作っていきたいと思います」
やはりチームの意向として、サイドからの形を増やしていきたいというあるんでしょうか?
前々節の途中から太田が途中起用されたこともありますが、太田のプレーを抜きにしても深井や米倉がサイドに流れてセンタリングを上げるシーンが増えてきた印象があります。
これはチーム作りの中での狙いの1つというのもあるのかも知れませんが、もしかしたらオーロイあてからの飛び出しでゴールを狙いにくくなってきたという部分もあるのかなぁ…とも思います。
ここ数試合、各チームはジェフを少しずつ研究してきたのか、ロングフィードに対してオーロイにマークを付けつつも、しっかりとカバーをしてスペースを作らないことで、2列目の選手がゴール前に飛び込んでいくコースを消している印象があります。
それによって、ロングフィードからのオーロイの落とし一発でゴールを狙うという形が、なかなか難しくなってきたのかなぁと。
しかし、その一方でサイドからの攻撃も、今のところはうまくいっていませんね。
やはりオーロイはDFの前をとる動きはあまり得意ではなさそうで、それに関しては久保の方が期待できそうです。
オーロイの高さを考えればピンポイントでそこにボールが入れば(上手く巻いて落とすようなボールで)、相手に競り勝てると思うのですが、なかなか質の高いボールを上げられる選手もいませんし。
米倉が言うように、オーロイの高さを見せつつグランダーのボールを狙うなど、バリエーションを増やして相手に読みづらくする攻撃が有効なのかもしれませんね。
あるいはオーロイがマークを引っ張って、後ろからゴール前に入っていく選手を狙う…なんて形も面白いとは思うのですが、オーロイにそういった動きが期待できるのかどうか。
その後ろに誰が入っていくのか(米倉は1つのターゲットでしょうけど、その他の選手として太田や深井に期待できるのか)…という部分も気になるところです。
その点では孝太が一番期待できたのかなぁ、なんて思うのですけど。
それと鳥取戦などで少し気になったのはウイングがサイドに開くことで、今度はオーロイあての時のフォローが少なくなってしまうこと(オーロイあてはビルドアップにおいても第一ターゲットになっていますから、そこへのサポートは重要な要素となっているはずで)。
このあたりは相手の動きやボール運びなど、状況に応じた動きが求められるということでしょうか。
バリエーションが増えることによって、もともとあった攻撃に対しての連動性が薄れてしまってはいけませんし、攻撃の質も種類も、それらの攻撃の明確な使い分けも考えていかなければいけない…。
このあたりも含めて、全体的な攻撃面の整理がもう一度、必要になってくるのかなぁと思います。
チームのベースが出来た段階で相手に研究されてきた状況だからこそ、ここからがチーム作りの本当の勝負と言えるのかもしれません。
例えばF1のマシン開発は日進月歩で進歩がなければ(相対的に)後退すると言われていますが、サッカーも研究と対策と発展をしていなければ厳しい状況になる…というのは、同じことなのかもしれませんね。