ドワイト監督「先週からあった怪我」

 昨日は「突然のオーロイ不在」、「試合前にオーロイが負傷」と書いてしまいましたが、監督のコメントを読むと実際には少し違ったようですね。

オーロイ選手の怪我の状態は?
ドワイト監督「先週からあった怪我ですが、状態は日に日に良くなっていました。ただウォーミングアップの後、またその部分に痛みが増してきたので、監督の判断としては止めておこうということになりました」(J'sGOAL

 スカパー!の放送では内転筋を痛めたという情報もあったので、先週あたりに足を釣ったんでしょうか。
 それから状態は少しずつ良くなっていったけれど、当日のウォームアップで動いたら、やっぱり痛かったと?
 ともかく怪我をしたのは試合直前というわけではなかったそうですから、全く時間がなかったとか緊急事態だったとかではないようで。
 一度はオーロイがスタメンで発表されていまることからも出場できる見込みで考えていたのかもしれませんけど、先週には負傷してしたわけですから徳島戦までにオーロイ不在のパターンも想定しておかなければいけないだけの時間はあったはずですね。



 徳島戦で1トップでプレーした青木孝太は試合後のコメントを読んでも、ポスト役をこなそうとしつつ自分の良さも出そうとしていたんだと思います。

青木孝太選手(千葉)
「トレーニングマッチで1トップを30分だけやりましたが、長いボールを受けたり裏に飛び出したり自分の持ち味を出せていました。」(J'sGOAL

 ただ、練習試合で30分しかやっていないというように、十分な準備をしていたようには思えませんし、そもそもポストプレーヤータイプでもないはずです。
 ポスト役としては久保もいて、試合途中から1トップに入ったことからもドワイト監督の選択肢の中に入っていなかったわけではないのでしょうが、まだ経験も浅くスタメンでのプレーは難しいと判断したのではないでしょうか。


 現在の攻撃パターンは2つで、一番の得点源はセットプレー(ミリガンのロングスロー含む)時のオーロイの高さ。
 しかし、どうしてもあの高さの代役になりうる選手はいないわけで、これに関してはオーロイ不在時にはどうしようもないところもあるでしょう。
 もう1つはオーロイがポストになって、米倉、深井が飛び出していくパターン。
 現時点では、得点パターンはこの2つだけだと思います。


 1トップがポストになって2列目が飛び出していくパターンを第一とし、サイドからのクロス展開を作っていかないチーム作りに関しては、「オーロイ不在のシチュエーションも考えているからではないか」という意見もありました。
 サイドからのクロスばかりでは、オーロイに依存する割合が増えてしまいますしね。
 私もそれに納得していたわけですが、実際にオーロイが欠場となった徳島戦では、残念ながらポストからの形は作れませんでした。
 孝太がポスト役を任されるものの力不足で潰されてしまった…という展開なら仕方がないと思うのですが、孝太がポストプレーを徹底してやっていたようにも思えず、パスを出す方ももくさびのパスを狙うよりはパス一本での打開を狙っているように見えました。
 しかし、練習で見た際にはオーロイ以外にも、前線の選手がゴールに背を向けてポストになって2列目を飛び出す形を入念にやっていたはずで、そのあたりを試合でやろうとしなかった(「出来なかったこと」ではなく)ことが非常に疑問です。
(孝太に対してでなく、チーム全体に対しての共通意識の問題。)
 その結果、結局「どうやって点を取るのか」の道筋が、見えない試合となってしまいました。



 オーロイの代役となれる実績のある選手を補強しなかったことが、個人的にはそもそもの疑問です。
 もちろんそのままの代役にはなれないにしても、体を張ってプレーできる前線の選手というのは今年の移籍市場でもでていたはずで。
(補強した意味が分からない選手もいるような気もしますし…。)
 ただ、そこから先は、監督やチームの問題となるはずで。
(まぁ、ラムやゲッセルあたりは監督の意向もあったのかなとも思いますし、それよりポジション的にはオーロイの代役を要求すべきだったのではないか…とも思わなくもないですが。)
 「オーロイがいれば変わっていた」とか「オーロイが帰ってくれば大丈夫」という話になってしまえば、その時点ですでにオーロイ依存が始まっているようにも思います。


 オーロイは今年で34歳とベテランで、今回が初の海外でのプレー。
 当初から日本の夏への対応は心配でしたし、コンディションの問題は不安視されていた部分があるはずで、オーロイ不在時の戦い方・得点の取り方はしっかり考えておかなければいけなかったはずです。
 もちろんドワイト監督が指揮をとってからまだ時間がないという部分もあったのでしょうけど、何か工夫しようという意図が見えた上で「やろうとして出来なかった」というのであれば仕方ないと思いますが、個人的にはオーロイ不在時にどう戦うのかがまったく見えてこなかったことが、今後に関しても心配な部分です。



 とはいえ、このタイミングでその課題がはっきりと目の前に現れたことに関しては、悪くないことなのかも知れません。
 オーロイの状態次第ではありますが、オーロイの高さ不在・ポスト不在(他にポスト役が出てくればそれでもいいのでしょうが)の際にどう戦うのかの構築が急がれますね。