2011年サポコミ感想 後編

 前編に続きまして、後編では主にチームの強化や方針に関して。
 今年も基本的には、『J1昇格』が第一の目標になるということでしたね。


 神戸TDに関しては、非常に誠実な印象を受けました。
 ただ、全体的に一般的な話が多く、神戸TDの独自性というか、具体的にどういったチームを作りたいのか…という点に関しては、明確に感じ取れなかった印象もあります。
 あえて言えば『J1昇格』…ようするに「結果」の追求ということになるのかもしれませんけど、では「結果」を求める上で監督に何が必要で、その結果ドワイト監督になった…というプロセスに関しては詳しく聞けなかったかなと。
 例えばドワイト監督の選択に関して、神戸TDは「日本を理解している」ことを理由として挙げられています。
 「なるほど」とも思うのですが、本当に優秀な監督というのは「日本を知っているかどうか」は関係なく、良いチームを作ってくれるんですよね。
 オシム監督もそうでしたし、オリベイラ監督などもそうですし、ザッケローニ監督もそうだと思いますし。
(一方で川淵氏はジーコ監督選択の理由の1つとして、「日本を知っている」ことを挙げていたはずで。)
 ですから、それ以上にドワイト監督自身のどこに惚れ込んで、どういったチームを作りたいのかという本質の部分を知りたかったのですが、そういった部分ははっきりとは見えてこなかったように思います。



 それと『J1昇格』を目指すというクラブとしての目標に関して。
 ここからは全くの個人的な意見ですが。
 まず今の状況でクラブにどれだけの力があって、どれだけのベースが出来ているのかどうか。
 そこが何よりも重要なんじゃないかと思います。


 ここ5年近くの間、ジェフは1年ごとに順位が下がっています。
 そういった状況になっているのもクラブとしての力が足らず、ベースが作られていないということが何よりも大きいのではないでしょうか。
 昨年の『J1昇格』失敗も監督の問題も大きかったとは思うのですが、これだけ毎年ズルズルと成績が落ちてしまっている状況にあることを考えると、監督以前にそもそもクラブとしての力量不足が考えられるのではないかと思います。
 今オフの動向を見ていると、まだ未熟とも思えるクラブのベースにベテラン勢を上乗せしたプラスアルファで戦おうとしている印象があるのですが、果たしてそれがうまくいくのかどうか…。
(もちろんベテラン勢にも期待はしていますが、1シーズンフルに戦えるのかどうか、2年後、3年後にも同じだけの活躍が出来るかどうかに関しては、どうしても疑問が残ります。)
 私はまずはそのベースを作る部分に、今は力を入れるべきではないかとも思うのですが。


 そういった意味で、サポコミ前に「現状の理解・把握が重要なのではないか」と書いたつもりです。
 昨年の反省とそこからの修正だけではなく、そもそも現状のジェフというクラブにどれだけのポテンシャルがあるのか。
 Jリーグにおいて今のジェフの実力は、どの位置にあるのか。
 経営などでも言われることですが、目標を立てる前にまず『自社分析』と『他社分析』が必要となってくるはずです。
 特に今期はライバルチームも、昨年以上に手強い状況にあるように感じますしね。


 もちろん今いるジェフの選手達を疑うわけではないですが、ここ数年のGMの頻繁な変更や監督選択を見ても一貫性を感じず、クラブとしての積み重ねがなかなか作れていない印象を受けます。
 そういったマイナス面を1年で凌駕するほどの優秀な監督や選手補強を行えるのならば良いのでしょうが、現状を考えるとチームばかりに結果を求めるのは逆にかわいそうではないかとすら思います。


 そういった状況下での多くのベテランの補強(昨年もベテラン選手の補強が多く、その多くはチームに残留しています)。
 極めて短期的な目標は『1年でJ1復帰』ということになるのでしょうけど、長期的なビジョンはどう考えられているのか。
 近年のジェフは毎年のようにそういった部分で失敗しているようにも見えるわけで、このあたりが聞かれなかったのは少し残念です。



 それと少し気になったのが、三木社長が昨年の反省に付いて「戦力は劣っていなかった」と強調していたこと。
 しっかりとパネラーの方が突っ込みを入れてくれましたが、サッカー面に関しては神戸TDやサポーターと社長との間には認識の差があるように思います。
 三木社長がサッカーに疎いのであっても、仕方がないことだとは思います。
 しかし、問題なのはその社長が現場に関して、ご自身で判断されてしまっている部分があるように感じるところではないでしょうか。
 これに関しては以前から気になっていた部分でもありますが、今回のサポコミでより明るみに出た部分だったように思います。
 今年からのJリーグ昇格が決まっている鳥取は社長が元Jリーガーなのだそうですが、こちらの記事によるとその鳥取ですら社長が現場との距離を置いたことでうまくいったと言われているようですし、ジェフも岡社長の頃は現場はすべて任せて経営に専念していたはずです。
 現場が気になる気持ちもわかりますが、現状や問題点の把握をする際などは神戸TDとしっかり話し合い、クラブの意思決定につなげてほしいと思います。


 また、サポーターとの関係のあり方に関してもいくつかの話を聞けました。
 社長は餅つきやミニゲームをサポーターと行ったことなどに関して触れていて、確かにそういった試みも良いことだとは思います。
 ただ、多くのサポーターが望んでいるのは『サポーターとチームの関係』を改善することではなく、『サポーターとフロントの関係』をより良くしてほしいと願っているのではないでしょうか。
 監督解任や内定の際の説明がないことやクラブの方針がなかなか見えてこないことなどに疑問を感じている方は多いと思いますし、むしろここ最近『サポーターとチームの関係』に関しては決して悪くない状況なのではないでしょうか。


 サポーターとフロントの関係やチーム運営の方針に関して疑問を感じ、ジェフとの距離を置こうという方も少なくないように感じますし、真剣に考えていかなければいけないところなのではないのかと私は思います。
 結果以外の部分も含めて現状に満足することなく、将来に期待を持てるクラブ作りを目指してほしいですね。