2010年反省会 ラスト 将来編

 さて、今年の反省会ラストは、ジェフの将来に関して。
 最後にして一番難しいテーマかもしれないですね。
 しかし、来季以降をどのように考えるかが重要であって、そこが定まらなければ的確な準備・補強は難しいはずですから、そこに関してはしっかりと考えなければいけないのではないかと思います。
■「方向性」と来季の目標
 まず、クラブの方向性に関してですが、やはり長期的に考えると育成の方をもう一度立て直すことが重要だと思います。
 予算があると言ってもJリーグ全体で見れば他を圧倒するような資金力があるわけではないですし、中途半端に選手を買うクラブを作るのではなく、選手を育成して5年後10年後にJ1で優勝を目指すチームを作るのが理想なのではないかと(それが祖母井さんのおっしゃっていた工夫の一案ではないかな…と思うのですが)。
 下部組織に関してはユースもコーチ陣を強化し練習場も改善も改善され少しずつ上向きの傾向にもあるようですから、時間をかけて見ていく必要があるのではないでしょうか。
 そして、2010年はトップチームにも育成面に定評のあるコーチ陣を招聘しました。
 しかし、一方でトップチームの運営に関して見てみると、中途半端にベテランを補強して「1年でJ1昇格」を目指すというなんだかチグハグな状況になってしまったように思います。


 このあたりを見ても、あるいはサポーターとの関係1つ取っても、フロント内部にも課題は多いように思えてしまいますし、選手やコーチ陣だけでなくフロントのスタッフに関しても腰を据えてじっくりと育てていこうという意識が必要なのではないでしょうか。
 そういった意識をクラブ全体で共有できるのかどうかというのも、今のジェフにとっては大切なことなのなのかなと思います。



 来季の現実的な目標に関してを考えると、どれだけの準備が整えられるかどうか(クラブのキャパシティという意味も含めて)がまずは重要ではないでしょうか。
 今期の反省点を振り返ると、まずは「経験」について。
 今年1年でジェフはJ2の難しさを身を持って体験したことになるのではないかと思います。
 しかし、その「経験」を来季しっかり活かせるかどうかはチーム次第となるはずです。
 特に気になるのがドワイト監督に関して。
 ドワイト氏が今期のスタイルに近いサッカーをするのであればその「経験」を活かせる部分も増えてくるのかもしれませんが、もし全く違うスタイルで時間をかけてチームを作る監督なのであれば本当の意味でのリスタートということになってしまうのではないでしょうか。
 そうなれば、来季の結果を求めるのも難しくなるのかなと。
 このあたりは監督発表時にも詳しく話しましたので、そちらを見ていただければ。


 次に「戦力」について。
 今期のジェフを見ていると選手層は厚かったものの、チームの軸になれる選手というのは本当に数人しかいなかったと思います(勇人くらい?)。
 ポジションは限られているわけですから、選手の数ではなく攻撃面と守備面で軸になりうる選手が補強できるかどうか(茶野・ミリガンあたりは怪我なく新チームにフィットすれば期待できるかもしれませんが)、あるいはそういった選手が成長して出現するかどうかが重要ではないかと思います。
 確かに相対的に見ればJ2では戦力は上にいるとは思うのですが、J1に昇格してもすぐ降格しては意味がないわけですし、来季はFC東京や京都もJ2に降格して有望な若手が多く伸び白のある東京Vもいるわけですから、決して簡単な状況ではないはずです。
 昨期に関しては大分や鳥栖、札幌などがそれぞれ開幕前に戦力ダウンとなり苦しみましたが、今期は今のところそういったケースも少ないのかなと思いますし、湘南・京都(祖母井さんもいますしね)などJ2を知っているチームも怖いですし、もしかしたら今期以上に来季の方が結果を出すのは難しい状況になるのかもしれません。


 最後に「監督の手腕」について。
 新監督が勝てるチームを作れる手腕を持っていて、日本やJ2への順応が素早できる方なのかどうか。 
 そして、その監督をしっかりとサポートできる体制を整えられるかどうかも含めて、監督周辺というのは来季のチームを占う上で非常に重要なポイントだと思います。



 繰り返しになってしまいますが、ドワイト氏が即効性のある指導者で今年からの継続性を見いだせる方なのか、あるいは時間をかけてゆっくりとチームを“育てていける”監督なのか。
 個人的にはまずはそこが一番気になるところです。
 あまり考えたくはないですが、どちらのタイプでもない…なんてことも、ありえるかもしれませんけどね(笑)
 もちろん傍から見れば監督が来て実際に指揮を執るまではわからないでしょうが、監督を選んだクラブ側としては目指すサッカーとどういったタイプなのかに関してはある程度理解していなければいけないはずです。


 そして、毎回言っているような気がしますが、「クラブが監督に何を求めるのか」。
 これが何よりも重要ではないでしょうか。
 公式リリースを見ても、このあたりが一切出てきていないというのが個人的には非常に残念です。
 クラブ全体の目標を定め一致団結するためにも、サポーターに対して何らかの情報がほしかったなぁと私は思うのですが…。


 もしも育成タイプの監督だというのであれば、もしかしたら来季は結果が出なくても我慢しなければいけないかもしれないわけで。
 もちろん、ただただ待つだけでは時間を浪費するだけになるかもしれないわけですから、我慢することによってその先に希望が見えるかどうかが何よりも重要なわけですが。



 個人的にはやはり準備期間というものも重要だと思いますし、クラブがじっくりとチームを作る決意があるのであれば、周りも我慢して見守る時期というのが必要ではないかと思います。
 コメントでも書かせていただきましたが、「J1昇格」は1つの目標だとは思いますがそれが最終目標ではないはずで、早期での「J1昇格」にこだわるのではなく、より上を目指さなければいけないと思いますし。
 ただ、それをするためにもしっかりとクラブ側が意思表示をしなければ早期の結果が出なかった場合に反発が出る恐れもあるわけですし、「監督に何を求めるのか」はっきりとさせておくべきなのではないでしょうか。
 何よりも一番怖いのは、今期のような中途半端な状況になってしまうことではないかと思うのですが。


 今年は4位という惜しいとも思える順位で、昇格に失敗しても予算があって、観客動員数もある程度は維持できて、選手もそれなりに残って…。
 これで油断して来季を迎えるようだと、ずるずるとJ2の泥沼にはまる第一歩のような気がします(笑)
 どちらの方向に進むにせよ、危機感を持って本気で集中していかないと。
 いっそ、ガツンと成績が落ちて一度規模も縮小し若手中心に頑張った方が、チームの新陳代謝や伸び白、危機感を促すという意味で最終的にはいいのかもしれませんが、それをやるのであれば去年だったのではないかとも思いますしね。


 ともかくジェフというクラブが1つの方向に集中して、一致団結して戦うこと。
 そのためにもフロントがリーダーシップと強い意志を持って、クラブを運営していくことが求められるのではないかと思います。
 「1年でJ1復帰」というノルマを強く宣言しそれに失敗してしまったことでより難しい状況になってしまったとは思うのですが、シーズン後半には活きのいい選手達も出てきましたし、フクダ電子千葉市などなどジェフに理解を示してくれている“サポーター”もいるわけですから、まだまだ未来はあるはずで。
 ともかく、既に来季へのスタートは始まっているはずですが、良い体制で第一歩を踏み出してほしいと思います。