2010年反省会 その5 MF編1

 前回のGK&DF編に続いて今回はMF編。
 ポジションはジェフの公式サイトに則ってやらせてもらっています。
 人数が多いので、2つに分けてみます。
ミッドフィルダー編1
坂本將貴
 開幕から4戦はSBでスタメン出場するも、シーズン中ごろはサブとしてチームを支えていました。
 そして、シーズン終盤にはCBでプレー。
 しっかりと周囲に気を配りながらも確実なプレーで貢献していたと思います。
 ジェフはJ2では相手を押し込む時間帯が多いですから、上手く行ったのかなぁと思います。
 一方でSBでは「よーい、ドン!」で相手と並走しなければいけないこともあって、若干スピードで苦しんだところがあったかなと思います。
 それでもSBからのビルドアップやクロスなどで良さを見せていましたし、時おり見せるオーバーラップで止まらずにしっかりと走りきる動きなどは他選手も見習うべきところがあるのではないかと思います。
 ピッチ外でも他選手を引っ張っていける重要な存在だと思いますし、来季もいつも通り頑張ってほしいですね。


レック
 序盤は右ウイングや左ウイングでも出場していましたが、シーズンの大半は左SBでプレー。
 賛否両論のあった起用法で、実際守備面でそこを狙われていることが多かったと思います。
 ウイングで起用すると中に絞ってしまうことが多く縦に抜けられませんでしたし(いや、SBでも中に入っていくことが多かったですけど)、縦に走っていってクロスを上げるプレーに良さがあるだけに、あえて後ろからスタートさせるという狙いだったんでしょうか?
 ただ、実際にはアレックスのオーバーラップを活かす戦術もできていませんでしたし、結果的にはデメリットの方が多かったかなと。
 自由に動き回ってしまう選手なだけに、もっとやることを限定させてあげればよかったんだと思うのですが。
 使い方の問題も大きかったとは思うのですが、今期はボールを奪われた後に戻らない、守備で体を張らないプレーも目立ち、そこは本人の問題だと思います。
 また、ボールを持つとネットばかりを見て、ネットにマークが集中している状況でもパスを出してしまうなど、もう少し日本人選手を信用してほしいなぁとも感じました。
 来季の契約はどうなっているんでしょうね。
 ボールタッチに癖があってそこでスピードが遅くなってしまう場合もあるだけに、監督の好みが分かれる選手なのかなぁとも思うのですが…。


山口慶
 今期加入の選手でシーズン前半は監督の信頼を完全には勝ち取れなかった印象もありましたが、後半に入ってからは代えの効かない選手になっていたと思います。
 前半にレギュラー奪取と行かなかった理由の1つには攻撃面の課題があったと思うのですが、チーム全体としては3トップに攻撃を任せる形になっていってしまいましたし、その分サイドの守備がおろそかになる傾向にありましたから、山口、勇人、工藤あたりは大変だったと思います。
 その中でも山口は広いスペースを1人でカバーし、大きくチームに貢献していました。
 個人的にはMVP有力候補ではないかと思っています。
 ただ、172cmと高さがない分DFラインの前で跳ね返すプレーが期待できないところが、少し悩ましいところなのかなぁと。
 アンカーの重要な1つのタスクだと思いますしね。
 相方のボランチにサイズがあったり、CBに絶対的な高さを持つ選手がいればそれでもいいのでしょうけどね。
 このあたりは難しいところです。


佐藤勇人
 今期はリーグ戦で全試合フル出場達成。
 特に終盤戦は気迫のこもったプレーを見せてくれました。
 ただ、シーズン中頃まではむしろ歯がゆさも感じました。
 序盤は周りに遠慮しているのか思い切りの良さを感じませんでしたし、終盤は気温の問題もあってか、単純な横パスでのミスや守備での軽いプレーも少なくなかった印象です。
 勇人はもっと出来る選手だと思っているからこそ、今期トータルで見るともう1つだったかなと。
 むしろ終盤の頑張りは結果的にではありますが、帳尻合わせのようにも感じてしまいました。
 普通に考えればMVP最有力候補なはずですが、そのあたりの印象もあるしJ1昇格にも失敗しましたから、今期は該当者なしが正解かなと(笑)
 その分、来季はシーズン開幕からチームの柱としての活躍に期待しています。


中後雅喜
 今期はリーグ戦出場8試合のみ。
 プロ入り初年度以来の一桁(といっても初年度は0試合だったそうですが)出場になってしまいました。
 昨年江尻監督が指揮を取っていた頃は、中後の鋭い縦パスから新居が落として展開…という形を作っており、戦術的に極めて重要な選手だったはずなので、戦い方の変化には驚いたのではないでしょうか。
 しっかりと監督話し合った上でのジェフ残留だったんですかね…。
 巻などもそうだと思うのですけど、こうやって1人ずつ見ていくと戦術的に犠牲になった選手が多すぎる印象です。
 それだけ選手層が厚かった(というか厚すぎてさばけなかった?)ともいえるとは思うのですが、これでは続投の意味もいまいち薄れてしまいますね。
 出場した試合では相変わらず惚れ惚れするようなロングキックを出していましたし、大きな武器を持っている選手だと思います。
 しかし、一方で守備においては「そこは絶対に抑えてほしい」と思うところをつぶしに行けなかったりと、良い悪いがはっきりとした選手ですね。
 だからこそ、チーム選択の際にそのチームがどういった戦術を取るかが重要なんだと思うのですが…。


工藤浩平
 勇人の復帰で結果的に苦しむ状況になってしまいましたね(笑)
 シーズン前半はチームがプレッシング志向だったため、工藤の守備能力がいかんなく発揮していたと思います。
 しかし、徐々にそのプレスもなくなっていくと、ボランチはバランスを取る役割が求められるようになり、そうなると工藤よりも勇人の方が優れているということに。
 後半からは左ウイングのポジションで起用され、特に9月の形は工藤がいたからこそ成り立っていたんだと思います。
 ジェレミー・ウォーカー氏は長らく工藤は羽生のように使うべきといっていましたけど、それが正解なのかもしれませんね。
 考えてみればオシム親子だって、そこで使っていたわけで。
 しかし、終盤はチームがよりパワープレーのような攻撃スタイルになってしまい、リンクマンである工藤の出る幕はなくなってしまいました。
 確かに消極的とも見えるプレーぶりでもあり残念に感じることもありましたが、1人で切り込める選手ではないですし、それを求めるのなら他の選手ではないかとも感じたのですが。
 キャプテンシーに関してももう少し変わってほしかったとは思いますが、元々そういった性格ではなかったということではないでしょうか。
 リーダーとは順番でなれるモノでもないと思いますし、長く在籍するからと言って10番もキャプテンもこなさなければいけないというのは少し可哀想でもあるかなと。
 江尻監督解任後、勇人が思い切り奮起したのでますます工藤の立場が難しくなってしまいましたが、その勇人も阿部もキャプテンを務めていたときはいろいろと叩かれていましたしね。
 特にチーム状況が良くないときはそう見えてしまう部分があるんじゃないでしょうか。


倉田秋
 ジェフ加入直後の今期開幕戦で途中出場からいきなりゴールを決めると、折り返し地点の19節までに8ゴールと素晴らしい結果を残してくれました。
 しかし、その後は苦しみ19節以降は得点も0。
 明暗の分かれたシーズンとなってしまいました。
 相手の厳しいマークにあったことや、チームの状況、コンディションの問題などもあったとは思うのですが、倉田本人のプレーも変わってしまった印象を受けています。
 足元でボールを受けるばかりで、前に走り込まない。
 前半の良い時はゴール前に飛び出していくプレーからの冷静なゴールが多かったと思うのですが、そういった動きがほとんど消えてしまいました。
 技術がある選手ですから中盤でボールをまわす仕事も無難にこなせてはいましたがが、そういった役割なら他の選手にもできるはずで(しかももっと守備の上手い選手もいるはずです)。
 個人的には香川のような存在になってほしかっただけに、ちょっと残念でした。
 来季どこでプレーするかはまだわかりませんけれども、どこでプレーするにしても今期前半のようにもっと危険なところに走り込める選手になってほしいと思います。